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140.寝付けない訳 ページ40

杏寿郎さんは天を仰ぎ、息を整える。


「杏寿郎さん…?」


「ふぅ…。よし!! もう大丈夫だ!!!」

 先程までの妖艶な顔とは対照的に、

 いつものはつらつとした表情に戻っていた。

「…えっと?大丈夫とは?」


「いや!こちらの話だ!気にしないでくれ!!」


 焦点が合わなくて明らかに様子がおかしい。


「…そうですか?」


「そうだ!この話はこれで終いだ!」


 よく分からないが、触れないで欲しいってことかな…。



 しばらく私が思考を巡らせていると、

 優しい声をかけられる。




「明日は亡くなった母の月命日でな、

 千寿郎と一緒に墓参りに行く予定だ。

 良かったら、君も一緒に来てはくれないか?」

 
 杏寿郎さんの母親、瑠火さんのお墓参りか…。


「分かりました。ぜひ、お供させてください。」


「うむ。明日の朝餉の後には出立しようと思う。

 花屋にも寄りたいのでな。

 君が一緒だと、千寿郎も喜ぶ。」


 家族の話をする時、

 杏寿郎さんは本当に優しい顔をする。


「そう言ってもらえて光栄です。


 もう夜も更けてきましたね。


 では、私はそろそろ」


 私は自室は戻ろうと畳に膝をついた時、

 杏寿郎さんに腕を引かれ、

 抱きつく形となってしまった。


 目の前に彼の逞しい胸板があり、



 鼓動が速くなる。



「…今夜は一緒に寝てくれないか?」



 そんなふうに言われたら、断れるわけがない。



「…はい。」


 
 杏寿郎さんは褥につくと、

 自分のすぐそばをトントンとたたく。


「こっちへおいで。」


 私は言われた通り、杏寿郎さんのそばに歩み寄るが、


 正面だとあまりにも恥ずかしいので、


 杏寿郎さんに背を向けて布団に潜り込む。


「A、こっちを向いてはくれないのか?」


「…近すぎて、恥ずかしいです。」


 私が小さな声でそう言うと、杏寿郎さんは

 後ろからくっついてお腹のあたりに腕を回す。


「…寂しいなあ。

 だが、これはこれで落ち着く。」


 そう言うと、彼はすぐに寝息を立てて眠ってしまった。




 私はというと、


 
 それはもう眠れるはずがない。



 この鼓動が彼に聞こえてしまっていないか…

 
 考えるとさらにドキドキして眠れない。



 
 私はこの日、


 朝方になるまでなかなか寝付けなかった。

 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月16日 14時

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