百ニ話 依存し始めた者 ページ23
_____一方その頃、冨岡邸では。
「………ムフフ……」
……ただ、冨岡が鮭大根を食べていた。
それはAが作り置きしていたものである。
え、それ大丈夫?と言いたくなるが、魔法で何とかなるので何とかなっている。
異論は認めない、と魔法のラップすらかけてAは最終選抜へと向かった。
七日間、Aの居ない日常が続いたが。
_____さほど、変わりはなかった。
それも、Aの独立した術式が例外なく働いたからである。
まるで自我を持つように家事をこなす魔法達に、冨岡はホワホワと(無表情)鮭大根を頬張っている。
_____一回、全ての術式が止まり、洗濯物や厨が危うくなった時はどうしようかと思ったが。
_____それにしても、遅いな。
最終選抜が終わり、もうそろそろ夜だと言うのに、全く気配がない。
………………まさか、な。
カチャ、と箸を置いて、冨岡は空になった茶碗を見つめる。
あのAだ、死ぬわけがない。
そう、言い聞かせて立とうとした時に。
………心配したのか、俺が。アイツを。
ふと、思ってしまった事に我ながら驚いた。
いつも煩く付き纏っていた彼がいない日常は、何やら物足りない物だったと。
屋敷は日常、だが冨岡自身にとって非日常になり始めた事に、驚いた。
_____依存し始めている、と背筋が凍った。
このままでは、彼がいないとダメになると。
……錆兎に甘えて、彼がいなくなったときの、あの孤独がまた………
_____センチメンタルな空気。
冨岡は、最終選抜と聞いて嫌な思い出しか無いのだ、致し方ない。
だが、今回は炭治郎という少年も一緒にいる。
………Aが炭治郎を庇って喰われた、殺されたなんて、あるだろうか。
まるで、錆兎が冨岡を守って戦死したように、と。
そこまで考えて、冨岡ははっと我に帰った。
アイツが死ぬなんてあり得ない、必ず帰ってくると。
そう、思い直して立ち上がった、その時に。
_____ふに、と頬に指が当たった。
………………自分の指じゃ、ない。
「っ!?」
バッと振り返れば、そこにはポカンとした表情のAが立っていた。
まるで、最初からいたよ?みたいな表情で。
Aから見て、冨岡が猫のように飛び上がったので。
「……いや、ご飯粒ついてたから」
_____と苦笑いを浮かべた。
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極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時