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夏「五条の任務に同行したんだって?大変だっただろう」


あの頭の怪我以来、復活を遂げた夏油と
久しぶりの任務の同行に車を走らせていると、

彼が楽しそうに話しかけてきた。


『あんたが思っている倍は大変だったわ。空気が重いったら…』


思い出すだけでも顔がやつれるくらいには
神経の使った1日だった。


それが思いっきり顔に出ていたのか

だろうね、と夏油は笑い声をあげた。



『でも、なんだかんだ五条くんは夏油くんのこと好きなんだなってのは伝わってきたわよ』


あの子はきっと、信頼のおける相手には可愛いことするタイプだ。そう思うと可愛く見えてくる。


補助監督の胃に穴を開けるだけの
クソガキではなかったことを知り得ただけでも…


『帰り道は悪くなかったかもね』


私はあの夜道を思い出して鼻で笑った。




夏「君は、私にもそんなこと言ったことないのに…
一体悟とどんな話をしたんだい」


気になるのか、彼は前のめりで聞いてきた。


その姿があまりにも子どもっぽくて
母性溢れる私の、いたずら心に火をつけた。



『秘密。でも私のことも夏油くんは信頼してくれてるみたいだし、嬉しかったわよ』



脈絡のない言葉に彼は
どういう意味だい、と困惑し


なおも到着までその攻防が続いた。








そうこうしているうちに、
車は現場である自然公園前に到着する。


「ありがとう、Aさん。その話はまた帰りに詰めさせてもらうよ?…あと待ち時間タバコを吸いすぎないように」


いやお前は医者か。


『知ってた?これの本数は、あんたが帰ってくる時間に比例するのよ』


暗に早く終わらせてこいと伝えると、彼は苦笑して

本日の現場である林の中に消えていった。




さあて、今日は何本目で帰ってくるかねぇ


わたしは早速、先ほど指摘されたタバコを探すよう

ジャケットのポケットを弄った。

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作者名:アイコ | 作成日時:2020年12月31日 23時

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