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あれから数日。
今日は珍しく、五条の任務の補助監督として
車を走らせていた。
本当は夏油を連れて行くはずの任務であったが、
先日の怪我のせいで、安静にするよう
ドクターストップがかかったとのことで
五条が代打で派遣されたのだった。
更には五条の担当補助監督が
彼のあまりの傍若無人さに振り回されすぎて
とうとう胃潰瘍になってしまったらしく
五条と私という
ミラクルタッグが出来上がってしまったのだが…
ちらりとバックミラー越しに後部座席を見ると、
五条と目があった。
『…どうされました』
五「いや別に?そっちこそ何見てんだよ」
乗車して20分。
かれこれ5回はこのやりとりをしている。
何故かずっと
五条は無言で私を睨みつけてきており
しかし聞いても、理由は出てこない。
生意気だなぁ、ずっとこれの相手って考えると
胃潰瘍になるのも頷ける。
今日1日だけだ。
のらりくらりと会話もする必要最低限に留めよう。
そう誓い、
その後も背中に感じる痛い視線を無視すると
そのまま運転に集中した。
*
現場に入って10分後
予想以上に早く五条が帰ってきた。
夏油のサボり癖に慣れていたせいで
私はいつものように一服していたのだが
まさか1本目で帰ってくるとは思わず、
彼の姿に変な声をあげてしまった。
そんな私と手元のタバコを見て目を丸くする彼は、
しかし「早く車出してよ。眠いんだけど」という
文句と一緒に後部座席に深く沈んだ。
私はその態度に大人気なくイラッとしてしまい、
反発するようにその場で火を消すことなく、
最後の最後まで煙を楽しんでから、
無言で車を走らせた。
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作者名:アイコ | 作成日時:2020年12月31日 23時