夜空を眺める、君を想う。【高尾和成】

想って２８ ページ28

「このままでいいから、聞いてほしいんだ」



ガラになく真剣に。



すぅ、と大きく息を吸い込んだ。




「俺とお前で、約束したの覚えてる？


俺は今でも覚えてるぜ？」


はは、と笑ったのはただの照れ隠し。

やっぱり今までためらってきた分
自分の気持ちを伝えるのは照れくさくて。



「もしかしたら、俺のせいでお前が傷ついてるかもしれない。



＿＿＿俺が、傷つけちまってるかもしれない。」



きっと、何度も傷つけてしまっただろうな。




もう一度、大きく息を吸い込んだ。





「でも

＿＿＿俺は、お前の事が好きだ。

これからも俺は、あの約束通り


ずっと、ずっと



お前の事を守りたい。


A、って

呼びたい。


和成、って


呼んでほしい。




だから



＿＿＿＿＿＿＿＿＿俺と、付き合って下さい」




今までなかなか伝えられなかったのに


すんなり言葉にできて


＿＿＿これが、俺なりの愛情表現。


ドアの向こうから聞こえた嗚咽に
思わずドアを開けた。


「だ、大丈夫か！？」


蹲ってるAに

駆け寄りながら、考える。


嬉しくて泣いてるんだったらいいな




「今だけでいいから
こうしていさせて」

ぎゅっと抱きしめると
ふわりといい匂いがした。

懐かしい。



アイツの体はやっぱり小さくて
俺の背中にまわしてくる手も
小さかった。


「私も一つ、頼みごとしていい？」

腕の中で聞こえた涙声。

俺は、とりあえず頭を撫でた。



【頼みごと。】

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