違うんだよ【狗巻棘】

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「足？何言ってるのナナミン！どうもしないよ！」


「怪我したんですか」


こりゃ話聞いてくれないや


私の足を見るナナミン


····ナナミン、鋭いからなぁ


私は、ナナミンから隠すように、怪我をした足を下げた


「んやーちょっとね。雑魚相手だから舐めてたらこのざま」


苦笑いをすると、ナナミンは私の目を見つめてきた


「···雑魚相手に、貴方がそんな怪我を負わされるわけないでしょう。襲いかかって来ても、貴方なら呪眼で一掃できるはずですが」


···その言葉、いつもなら嬉しいんだけどなぁ

ナナミンの探るような目に、居たたまれなくなった


「···ナナミンには隠せないか。なんで分かったの？」


「走ってこちらに来るとき、足を庇っているように見えたので」


···ほらね、自分でも気づいてない所に気づいてるんだもん。

痛くて、無意識に庇ってたのかな


私は正直に話すことにした


「···未登録の特級呪霊。それも因縁付きの」


ナナミンは驚いたように目を見開いた


「私にしか見られてなかったから未登録らしい。それがもう憎い相手でさぁ」


「···相手前にしたら、理性飛んだ」


自嘲気味に笑えば、ナナミンの顔はもっと怖くなった


もう、ただでさえ笑顔がなくて怖いんだから、もっと怖い顔しないの


「···因縁とは、具体的に？」


上を見上げながら答える


「···大切な人を殺された」


───────大切な人

本当に、大切な人


あの時の怒りや憎しみが蘇ってきて、拳を握りしめる


「アイツは絶対に私が殺さなきゃいけないの」


「絶対に···」


「ということだから！じゃね、ナナミン」


今度こそ、背を向けて教室へ向かう


「···無理してはいけませんよ」


少し張ったナナミンの声


「···ありがと」


手を振りながら、その場を去った


····ナナミンったら、本当は優しいんだよね

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