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「なあ、神崎。何故お前は、そんなにサッカーをするのを拒む?」



一通り話を終えた時には、辺りはすっかり暗くなっていた。兄妹で帰るらしい二人と別れて、危ないから家まで送ると言ってくれた豪炎寺と帰ろうとすれば、後ろから鬼道にそう声を掛けられて。振り向けば、彼の瞳が真っ直ぐに私を射貫いていた。



「お前のサッカーの技術は本物だ。男子に遥かに凌駕するそのスピードとサッカー技術があれば、お前は間違いなく全国一になれる……否、下手したら世界にだって通用するだろう。それなのに、何故?」



しかし、私の心は凪いだ海のように静かだった。鬼道に聞かれるだろうことも多少の予測はついていたし……彼らにずっと隠し切ることは出来ないだろうことに、気付いていたからかもしれない。
数秒の沈黙の後、小さな溜息をひとつ吐いて私は徐に口を開く。



「――――これは、私への罰なんだ」



「…………は?」



「全てを捨てて逃げ出した私が背負うべき罪。抗うことは許されない、あるべくしてある……そんな罰」



だがその罰に抗うことすら、私の選択肢にはなかった。そんな意思も露程もない。
鬼道が理解が出来ないとでも言いたそうにしているのを無視して、夕闇に覆われる虚空を見上げる。口元は緩く弧を描いていた。



「でもきっと、そう遠くないうちにこの罰は終わりを告げるだろうから。その時にきっと、分かると思うよ」



それは予感だった。必ず来る終わりが近づいてきている……そんな予兆を、どこかで感じ取っていた。
罰が終わる時、私はその罪と対面するだろう。逃げるときにすべて捨ててきてしまった、救うべき大切な家族たち――――否。相対することになるだろう、倒さなければいけない敵たちと。





――――――

これで16章は終わりです。長かった。
ちなみに09で神崎が鬼道に放ったシュートは『トゥインクル・レイ』という技だったりします。

第17章 独りぼっちのワンルーム 01→←15



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作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - わたぐもさん» わたぐもさま ありがとうございます。長らくお待たせいたしました。今後ともお楽しみいただければ幸いです。 (2022年7月2日 22時) (レス) id: 555a0dca31 (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - とっても好きな作品なので、再開凄く嬉しいです…! (2022年7月1日 23時) (レス) @page43 id: 5d152484ae (このIDを非表示/違反報告)
鱗川 - ゆっくりで良いので頑張ってください! (2022年3月25日 1時) (レス) @page40 id: d49fa68ddd (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれると嬉しいです。待ってます。 (2020年2月27日 14時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
- 更新再開するんですね...!ずっと待っていました!この作品の夢主ちゃん可愛いし、性格も大好きで憧れなんです。これからの更新楽しみにしています! (2019年3月4日 5時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Aoi | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aika398/  
作成日時:2017年11月8日 23時

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