【名探偵コナン】仰げば尊し【文豪ストレイドッグス】

元上司の正体 ページ10

太宰side

私がまだポートマフィアだった頃、彼女は首領の秘書で幹部の一人だった。
その時の名は、西野 沙耶。

そして…ある日を境にその名が組織内から消えたのだ。まるで、最初から存在しなかったかのように───
織田作と良く飲みに行っていたらしく、彼の口から彼女の名前が何度か出ていた。そして彼女は時期にポートマフィアを“裏切る事も”────


どうして本名を知っているのか気になるかい？
それはね……まだ探偵社に就職したてだった頃、乱歩さんと話していたら、社長に年の離れた妹が居ると聞き、写真を見せてもらったのだよ。

見ると、沙耶さんと瓜二つの女性が社長と映っていた。私はその時悟った。彼女はスパイだったのではないかと。

名前が消え、姿も連絡先も検討つかない…彼女の奇妙な行動を照らし合わせると……

え、奇妙な行動が分からない？
ふふ、それはね…

とある行きつけのばーで、彼女は私達と毎回同じものを頼むのさ。そこまでは気にならないだろうけど、必ず安吾、私、織田作が酒を口にしたあとじゃないと自分の頼んだものを口にしない。

それだけじゃない。足音を立てずに歩くし、やたらと背後を気にする節がある。確かな証拠はないけど、私はスパイだと悟ったのだ。





彼女を待ってる間、やはり浮かぶのは織田作が私に思いを打ち明けたあの夜。確かに織田作は私にこう言った。……柄にもなくやつに溺れてしまったと────だとしたら“知った上で”……

チクッと胸の辺りが疼く。
嫉妬…だろうか？
これこそ私らしくない…


「織田作…君は知っていたのかい？ 彼女の正体を…」

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