ドライブというなのちょっとした過去 ページ13
報告のメールを打ち終わり、愛車の元へ向かう。
死にたがりと愛車でのドライブは最悪だ。
この重苦しい沈黙を破ったのは太宰君である。
「あの…貴女は一体何者なんです?」
「おや、てっきりご存知かと思ってましたが」
あの太宰君がこの質問したのは意外である。
…いや。分かっていて態と聞いてるのか。
性格悪いから尚更有りうることだ。
「私の本職は日本が誇るゼロと呼ばれる組織です ここまで言えばわかるでしょう」
「やはり、貴女は公安だったんですね」
ハンドルを握り、先刻とは変わって安全運転で探偵社に向かってると、太宰君は答え合わせをするかのように言葉を並べた。
「…でも、一番気に食わないのは」
────彼を利用したこと
目付きが変わる彼がちらっと視界に入る。
恐らく、作の事だろう。
違う…私はあの時、本当に……
「利用なんかじゃありません 貴方は知らないでしょうけど…信じてくれないとは思いますが、愛していたんです」
私はまた嘘をつく。この人にはバレバレな嘘を。
ただ、一時期。ほんの少しだけ彼(作)に惹かれてしまった時があるのは内緒。(証拠にあのメールを未だに削除していない)
作を利用するつもりは全く持ってなくて、作戦では彼を公安で引き取り情報屋として雇うつもりたつたのだ。
結果利用する事になっちゃいましたけどね。
とは、口にせず心の内に秘めて墓場まで持っていこうとするも目を見開く彼を見ては思わず笑ってしまった。太宰君の素の姿を見たのは何時ぶりだろうか。
と、思いにふけるも他に気に食わない事があるのか先刻以上に冷徹な視線を向ける。
嗚呼……“貴方の元相棒との関係”の説明をしなければならないのか。
「君の疑問に答えましょう ただの
「何故彼奴を?!」
「おや、随分と彼に肩入れするのですね」
ちょうど、車庫に到着しエンジンを切る。
肩入れという言葉が癪に触ったのかさらに表情を歪める。
「…私は、本当に」
Prrrr────…
彼の言葉を遮るように着信音がなる。
私はプライベート用も仕事用もマナーモードにしているので恐らく太宰君の物だろう。
切り替えが早く電話に対応するこの人の言葉の続きが気になるが、兄の顔を見ていないのを思い出し車から下車する。
お互い、気持ちに気づいているものの私は素直になれないでいる。私は平和が訪れるまで口にはしないつもりだ。
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杏仁豆腐@スガエル(プロフ) - ルチアさん» すみません、たった今気づきました( ˙-˙ )励みになります。嬉しきお言葉!ありがとうございます (2018年2月6日 13時) (レス) id: 0a35bafc5f (このIDを非表示/違反報告)
ルチア(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2017年8月2日 5時) (レス) id: 0f75b247de (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐@スガエル(プロフ) - 夕霧さん» ありがとうございます!!!励みになります! (2017年7月23日 14時) (レス) id: 0a35bafc5f (このIDを非表示/違反報告)
夕霧(プロフ) - とても面白かったです! 更新頑張ってくださいね! (2017年7月23日 14時) (レス) id: fb8453ace7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏仁豆腐@スガエル | 作成日時:2017年6月19日 22時