第5話 ページ7
暗くなっている商店街を小走りで探す。ろくが行きそうな所は探したのに........、どこにもいない。何時もよりも時間がかかってるし、ろくろ......大丈夫かな？
『！(いた.....！)』
片手にビニール袋を下げ、中学の制服を着て歩くろくろを見つけた。ろくろの方も、私に気づいた様子で手を振ってくれる。
「姉ちゃん！.......探しに来てくれたのか？」
『うん、遅かったからね。.......怪我してる！大丈夫？』
ろくの顔を見ると頬から血が出ていた。
制服も所々汚れているし、何してたんだろう？
醤油と家出(？)しに行ったはずなんだけど.......？
「.......姉ちゃん」
『ん？』
並んで歩けば、ろくろの身長が私よりも高かった。そんな新しい事に気づいている私を姉ちゃんとろくろが呼んだ。どうかしたのか？視線を上の方に上げて、彼の言葉を待つ。
「俺、今日....さ、......陰陽師の力、使ったんだ......」
『！』
「ケガレのいる.......「禍野」って所に行って、.......じっさまからもらった黒い霊符で......祓ったんだ.....」
.......二年前のあの日。
二度と陰陽師をやらないと決めたろくろが、じっさまからもらった霊符で再びケガレを祓った......。怖くて、苦しくて霊符なんて使いたくなかったはずなのにろくろは勇気を出して使った。きっと、守りたいモノがあったんだろう。ろくろの頭に手を載せる。私が、その場で止まり、ろくも私のにつられてその場で止まった。
「！.....姉....ちゃん？」
『......頑張ったね。すごいよ、ろくろ。さすが、私の弟！』
頭に手をおいて撫でる。頑張ったねって、すごいねって、ろくの出した勇気はすごいよ！って伝わるように。ろくろは暗かった顔を、いつもの笑顔に変えて嬉しそうに笑ってくれた。元気出たかな？
『今日の晩御飯はハンバーグだよ。さ、帰ろう！』
止まっていた足を動かし、星火寮に向かう。後ろから、ろくが歩いて来て私の隣をまた並んで歩く。
『ねぇ、ろく』
「ん？何」
『さっき、ろくのいいところは、子供っぽいところって言ったけどね。ろくろは自分の心と向き合える強さを持ってる、自慢の弟だよ！』
「！.....姉ちゃん！！俺、嬉しいよ。ありがとっ！！」
二人で日が落ちた町をゆっくりと歩いて帰って行った。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月12日 20時
