第4話 ページ6
何回か言っては、家出するする言って結局帰ってくる。するする詐欺をするのだ。
『(あ.....)』
出て行こうとするろくの背中に私は、声をかけた。
『ま、待って、ろくろ！さっき見たらお醤油なくなってたから、外行くならついでに買ってきて！』
「家出するっつってんだろうがああああっ！！！！醤油は買ってくるぅぅぅっ！！！」
『ありがとう』
買ってきてくれるのね。家出するって言っても、お願いは聞いてくれるんだ。優しいなあ。全速力で玄関から出て行ったろくろ。晩御飯までには帰って来るよね？
「相変わらず亮悟さんはろくろにご執心っスねぇ」
「！」
「でもろくろが陰陽師やれるとも思えないっスけどねぇ？」
「戦ってるとこ見たの一度もないよね」
「どうせ他のと一緒で長続きしないですって☆」
確かにろくろは「いい所どこ？」って聞かれるくらい普段ダメダメだけど、陰陽師としての才能はすごい。
『ろくは二年前まで陰陽師として戦ってたんだよ』
「俺は勿論、当時は.......皆がアイツの実力を認めてた」
「あのろくろが〜〜〜〜〜っ！！？」
「二年前っていったら......アイツまだ十二歳じゃないですか。どうして戦うのやめちゃったんです？」
「........。ろくろは.......″雛月寮″のたった一人の生き残りだから」
『.......』
雛月寮.....、懐かしい名前。
あれから、もう二年.......。
私は、ろくがこの先笑顔でさえいてくれればいい。
どんな道を選んでも.....。
──────────
『ごちそうさまでした』
夕御飯を食べ終え、片付けをする。ろくの夕御飯を取り分け、ラップをかけておく。そろそろ帰ってくると思ってたけど、いっこうに帰ってこないろくろ。家出？(するする詐欺)が初めてでは、ないとはいえ、心配になる。
......もしかして、何かあったとか？
エプロンを外し、パーカーを取る。
「彼方、どこ行くんだ？」
『ろくが心配だから探してくるよ』
「わかった。ろくろの事よろしくな！」
『任せといて！』
「彼方、御守りとリボンちゃんと持っていくのじゃぞ」
『わかってるよ、じっさま！』
玄関で素早くスニーカーを履いて、外に出た。
電灯の灯りが暗い夜道を照らして、私の行く先を照らしてくれる。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月12日 20時
