第33話 ページ35
「..........」
清弦さんは何も言わない。
肯定......という事でいいのかな?
『......図星ですね。.......この件.........嫌な、予感がします』
「......お前の予感は、昔からよく当たるからなぁ〜〜〜!」
表情は変わらない。
けど、私が言ってることは当たってるはず。
『.......ねぇ、清弦さん』
「何だぁ〜〜〜〜〜?」
『気をつけてくださいね?怪我なんてしたら、ろくろは勿論、私や繭良、紫さんに、亮悟さん、じっさま........それにもっとたくさんの人が心配しますから』
私が知らないだけで、もっと多くの人が悲しんでしまう。まっすぐっと清弦さんの方を向いて、私の伝えたいことを言葉にした。
『........怪我しないでくださいね、師匠.....』
「.......善処はする」
そこは、「しない」と言ってほしい所なんだけどなぁ。ろくろもハッキリと言い切らない、そして、無茶する。こういう誰かのために戦う人は皆そうだ。
『(はぁ.....)』
再び私は窓の外を見た。
......ああ、本当に嫌な予感がする。
何事も起きないといいんだけど........。
そんな私の願いは、跡形もなく崩れた。
進み始めた流れはもう誰にも止めらない。
──────────
次の日の夜。嫌な予感がずっと私の中を巡って、なかなか寝付けないため一階にあるソファに座っていた。
清弦さんは......ろくろは、紅緒は......大丈夫だろうか.....?
嫌な考えが頭の中に何個も出てきて、すぐに頭をふってその考えを捨てる。
『(お願い.....。どうか、どうか......無事でいて.......)』
部屋には、時計の針の音だけが響く。
ガラガラガラ。
『!!?』
清弦さん!?
急いで、玄関に行くとそこには、気を失っている繭良を運んでいる紅緒。そして、片腕をなくした清弦さんを玄関の床にそっと降ろすろくろがいた。ろくろ達も怪我をしていて、誰かと戦った後のよう。多分だけど、いや確実に彼に会ったのだ。清弦さんの当初の目的の通りに。
『...........悠斗に会ったの』
「ッ......!!」
「......ッ.....!!」
私が来た後にじっさまと亮悟さん、篤さんと慎之助さんが玄関に駆けつけてきた。
52人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月12日 20時