第34話 ページ36
じっさま達が救急車を呼んだ。救急車に乗せられて、病院に運び込まれた清弦さん。治療は、終わったがまだ目覚めない。
「.........事態は清弦が危惧しておった最悪の方向へ行ってしまったか。もうわかっておると思うがの当初清弦が有馬様から受けた任務は、双星と協力してケガレ墜ちを生み出す者......悠斗を討てというものだった。」
目の前に座るろくろと紅緒に語るじっさま。
「清弦はお前と悠斗を戦わせたくはなかったのじゃ...。お前達二人に知っておくべき事実を伝えたあとは、一人で悠斗を倒すつもりじゃった」
......不器用な人だな、清弦さんは......。
そのために憎まれ役をやって、ろくを禍野から遠ざけた。
でも、清弦さんでも倒せないほどに悠が強くなっていた。
......この流れは、悠の計算の内かもと考えてしまう。
「ふ......二人は......?」
「繭良は命に別状はないが、清弦はまだ何とも言えん.....。じゃが、たとえ助かったとしても陰陽師として戦うことは二度とあるまい......」
繭良は、ケガレ墜ちになってろくろと紅が救った。その後に悠が来たと。清弦さんは、双星の二人を、ろくろと紅緒を守った。それほどまでに双星は代えがきかない、大切な存在なのだろう。
「有馬様に状況を報告してきたぞぃ」
「婆.......それで有馬様は?」
「こ......今回の事態を受けて陰陽連は.....」
「?」
「悠斗様を......は......反逆者として討伐部隊を編成する.......と」
「!!」
「直ちに十二天将「朱雀」「大裳」「大陰」「青龍」の四人をこちらに派遣.......。しかし、急な要請故四人が到着するのは早くても明日の夕方以降になるそうじゃ」
「え.....」
「どうした、ろくろ」
『?』
「あ....っ、いや.....や、何でもないよ....」
絹さんの言葉に動揺したような反応をみせたろくろに首を傾げたが、本人は何にもないと。二人とも体より、心が傷ついてるのは分かる。心配だけど何もできなくて、ろくろのさっきの反応も気になる。
『(.....まさか、二人で悠を倒しになんて行かない......よ、ね.....?)』
晴れることのない胸のモヤモヤは、私の中で残り続ける。
これ以上.......嫌な予感は、当たらないで......。
52人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月12日 20時