◇バスで思う気持ちは届かない ページ27
先導アイチside
「やっぱ、寝たかカサネの奴。」
「ほんとだ、あんなにもマケミがうるさいのに寝ちゃいましたね」
「カツミだって言ってるだろ!!.....てか、なんかムカムカするんだけど.....」
「あははは.....。まあ、これじゃあな〜」
櫂君の肩に頭を乗せ、スヤスヤと眠るカサネさん。
その様子を運転している店長以外が全員見ていた。
眠るカサネさん見ながら、モヤッとした何かが僕の中にうまれた。今の状況のカサネさんを見てると「嫌だ」という気分になる。
「.....カサネさんと櫂さんは恋人同士なんですか?」
「!!?....えぇっ!」
エミの言葉に思わず声をあげた。
そ、そうなの?
でも、そうかもしれない。カサネさん、綺麗な人だし、優しいし、いつも僕達のことを気にかけてくれる。この間だって、落ち込んだ僕を追いかけて来てくれた。
す、好きな人とか......、恋人とかいてもおかしくないよね......。
「違う違う。こいつらは恋人同士じゃねぇよ。ただの友達、ライバルだよ。な?櫂」
「ああ」
「(良かった.....)」
「(アイチ、ホッとしてる.....)」
三和君の否定と櫂君の返事でほっとした。
カサネさんが誰かといるのは、嫌だと感じるから。
これは多分、嫉妬してるんだと思う。
スウ...。
カサネさんの目蓋が少しずつ持ち上がっていく。
『ん......!!?え、あ、櫂!?』
「起きたみたいだな」
『へ?....三和。何.....あ、寝てたんだ....私....』
「ぐっすりだったよ」
皆から見られていたため、驚いていたカサネさん。
すぐに状況を理解して、櫂君の肩から頭を動かす。
『寝惚けてなんか言ってたりとかした?』
「別に」
『そ、そっか....。よかった......』
櫂君の言葉にカサネさんが安心している。
少し恥ずかしそうにする彼女。
いつもの雰囲気と違う彼女に少しドキリとする。
『どうかしたの、アイチ?』
「えっ!?」
『私の方見てたから、何かあるのかと.....』
「もしかして、ヨダレとか!?それとも、跡ついてる!?」と焦ってるカサネさんに大丈夫だと伝えると安心した様子。
ゴト。
「着きましたよ〜!」
バスは目的地へと着いた。
シンさんの言葉で、僕達は外へ出た。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年11月6日 19時