◇広がるキミの世界 �� ページ21
「ヴァンガードの広い世界か......」
「けっ、そんなことが良いことかよ。俺にはわかりきったことだぜ」
君はもっと知った方が、良いんじゃないの？と思うけど口には出さない。
「カードのこと知りたかったらいつでも教えてあげますからね」
「客として店にくるならだろ」
「アハハハハ......」
客としてもと商売のことも考えてるのね、シンさん。
「ありがとうございます！」とアイチは、シンさんにお礼を言った。今のアイチに大切な事を教えたからだ。
『頑張れ、アイチ！』
「はい！」
アイチは、もっと強くなるね。
色んなファイトを経験していったら、今よりも強くなる。
楽しみだね。
櫂もきっとアイチが強くなって、自分に挑戦しに来るのを待ってる。
顔にも態度にもでてないけど。
それでも、アイチに期待していることは、確かで......三和だって気づいてる。
『....ミサキ、初ファイトはどうだった？』
「......まあまあ」
『ふふっ.....そっか！』
本に視線を移しながらも、小さな声で言うミサキ。
嫌いではないみたいで、思ったよりも楽しかったんだと思う。こっちも表情や態度には出てないけど。
それは良かった！
「何？」
『ううん！....な〜んでも』
誤魔化して棚の方に向き直り、再びカード整理をする私。
新しいパックの整理など.....。
ふと、手を止めて、
『(......今度は私ともファイトしてほしいなあ....)』
なんて....、二人のファイトを思い出しながらそんなことを思った。
櫂と同じように楽しみに待ってる。
アイチがもっともっと強くなって、色んなカードを知って使いこなせるようになるのを。
チラッとワクワクしながら、カードを見るアイチ。
『(......昔の私って、あんな感じだったのかな？)』
私がヴァンガードとであった時。
お父さんのヴァンガードを見て、出会ったカード。
『(ねえ？こんな、感じだった？)』
お父さん？
最初はお父さんしか見えなくて、追いかけたくて、一緒にファイトしたくて.....。
「楽しそうだね、カサネ」
『うん。なんか、私とお父さんみたいだなぁって』
「！.....そっか」
アイチの視野が今よりもっともっと広くなったら、アイチはもっと強くなりそうだ。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
