◇目立つのは遠慮したい ページ7
「バレーではスゲェ目立ってんじゃねェカ」
『あれはあれだよ。取材とか無理』
「相変わらずだな。俺は勿論、いつでも取材OKだがな！！」
「てめぇには聞いてねェって.....！」
相変わらずなのは、尽八もでしょ。
バレーでの目立ちと演劇は違うんだよ。
春頃だったか、取材されるのは自転車競技部の監督と福ちゃんだけだったのに自分が取材されると思って、カチューシャ着けながら鏡で自身の髪型を確認していたらしいのだ(荒北情報)。それぐらい目立ちたい尽八。
今年度中にもう数回だけ取材があるらしいのだ。
春高に向けてとかさ？
『はぁ.....本当に演劇じゃなくて良かった.....』
「教室内だけだからね、行動範囲」
『接客より料理作る役が言い！！』
「湖羽はどっちもできるから即戦力だね」
できれば、裏方、調理係がいい。
メニューとか、細かいところは決まっていないけどね。
「喫茶店って、言ってもメイド執事喫茶じゃん」
『メイド.....ねぇ.....』
ただの喫茶店ではなく、私達がやるのはメイド執事喫茶。多数決で決まって模擬店をやることになった。
演劇との一騎討ちに見事勝った喫茶店だったが、ただの喫茶店では面白くないとうちの担任が言い出して、演劇に投票していた子達が「メイド喫茶！！」「執事喫茶！！」「じゃあ、二つ合わせるか！！」と言って、私達のクラスはその二つの要素の入った模擬店をすることになったのだ。
「衣装係の人達、ものすごいやる気だよ」
『去年も一昨年もうちのクラスの被服部はメラメラとやる気の炎が灯ってたよ......』
「それは今年もだな！」
昨年の学級委員長(今年も学級委員長)が被服部の子達に「頼んだ！」とサムズアップしているのが目に入った。今年も衣装係は彼女達。キラーン☆と目が光って、彼女達は私達の方を見た。あ、あれは獲物(衣装強制)を狙う目！！
............今年も接客係(コスプレ)決定だな。
「なんか、湖羽と東堂だけじゃなくて私と荒北もロックオンされてない？」
『気のせいだよーって言いたいけど、多分当たり』
「あ゛！？俺もかヨ.....！？」
「どうやら俺達は接客係らしいな」
被服部の皆の目が私達をロックオンしている。彼女達が椅子から立ち上がって、私達の前に来た。あ、これ去年も体験したなぁ.....。デジャブ。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年12月25日 19時
