◇今年も喫茶店 ページ6
「多数決の結果、うちのクラスの出し物はメイド執事喫茶に決まりました」
赤のチョークで黒板に書かれた文字を囲んだクラスの学級委員長(去年も同じクラスで学級委員長してた)。ついこの間席替えをしたばっかりの席の机に頬杖をつきながら、盛り上がるクラスメイト達の声に耳を傾けた。今回の席替えは尽八とは離れ(若干、前後左右の席になりすぎて呪われてるのかと思った事もある)、荒北と隣通しになった。このクラスになってから荒北と席が近くなった事なんてなかったからめちゃくちゃ驚いた。
「秋は学校行事が目白押しだな!」
『この間は体育祭。終わってからは、春高予選......からの文化祭......。今年最後の学校行事かな?』
「多分そうだね」
高校の大きな行事、文化祭。体育祭は二ヶ月前にやったというのにすぐに文化祭が来た!と時が過ぎるのが早いったらありゃしない。早速、クラスの出し物を決めることになり、お化け屋敷、演劇、飲食店等々様々な意見が出た。絞り混みによって、飲食店系の模擬店をすることになり、次は何を提供するか、モチーフは何にするかと大盛り上がり。それを私は静かに見ていて、あっという間に出し物は決まった。三年連続同じような雰囲気で決まった。他のクラスだった人達もいたのにノリが一年生と二年生の時にさほど変わらなかった。
『コスプレから限定されて、メイド執事喫茶かぁ.....。尽八の執事姿がみたいんだねー』
「俺か?」
クライマーとしても″山神″としての知名度もあり、尽八のファンクラブも存在する(知らないだけで貴女もです)。前世の知識から知ってたけどさ、尽八凄いよね、ホントに。クライマーとしての実力もあり、イケメンだし、副部長だし.....。かっこいいし.....!
「俺は何でも似合ってしまうから、困ってしまうな.....!」
『ソウダネー』
「そうだろうそうだろう!」
『(この台詞前にも聞いた覚えがあるんだよなー)』
ワッハッハッハッ!!といつも通りに笑う尽八を適当にあしらう。桜良とは今回の模擬店の衣装について話し始める事にした。
「演劇か喫茶店。文化祭の定番が残ったね」
『だねー。いや、本当に喫茶店に決まって良かったよ』
「あ〜、湖羽........人前とかダメだもんね」
黒板に演劇とか出た瞬間願いまくったよ。
演劇に決まるな〜って.....。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時