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猩「ここ座りなさい」






部屋の中央に置かれた指ソファを指定され、大人しく従った。
猩覚も向かい合わせで座り、妙な支配力にAは今だ肩を強張らす。






猩「A…」

猩「俺もごちゃごちゃと言いたくないンだよ」






こうして説教をくらうのは初めてでは無い。
その度に猩覚の眉間にしわがよる事、Aが閉鎖的になってしまう事は半年足らずでも互いに分かっているの。だが、解くのは今だ手探りだ。






猩「Aが朝弱いのも、」

猩「神威達と仲良いも分かるが」



貴「別に仲良くない」



猩「んん゛?」



貴「…何でも無いです」






また縮こまってしまったAに、猩覚は見かねてか隣へ移動し、少し力を込めて手を掴んだ。







猩「…A」

猩「俺ら第四師団は、また派閥争いなんてあったら」

猩「確実に標的はだ」



貴「…私が女だから?」



猩「…あァ。それもある」

猩「だがもう一つ」

猩「単純に俺たちは生かしておく理由もねェんだ」






少しだけピクりと肩を動かしたAに、ちゃんと耳に入っているのだと確信した猩覚は続けて話す。







猩「別に華蛇の尻拭いをしろとは言わねェ」

猩「俺は只、お前のペースでいいから」


猩「まずは団長としての威厳と実績、」

猩「この2つを作っていってほしい」


猩「そしたら今より楽になる」

猩「やりたい事だってやれるから」






それは"Aが"組織の中で肩身の狭い思いをしない様に。どこまでも自由でいさせてやりたいといった、猩覚の親心に近い感情でもあった。

そこに愛情があるのかは分からないが、猩覚はAと過ごす時間を、居心地が良いものと感じていたのは事実。






猩「何にかあるだろ?」






揺らぐ事のない瞳と数分ぶりに合い、綻ぶ猩覚の顔に、Aも釣られる。そして、本音の野望を口にした。








貴「私、…先生を助けたい」

貴「先生が私を助けてくれたように」

貴「今度は、私が先生を助けたいの」









「 天導衆を、殺したいの 」






予想外の発言。
怖いくらいの野心に、猩覚は折れぬ様にAを抱きしめた。





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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時

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