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地球に立つ前。船に乗り込む際、高杉はAの元を訪れていた。
高「江戸に行くんだってなァ」
貴「…見送りは結構よ?」
高「ハッ。まァ、そう連れねェ事言うなァ」
高「いい事教えてやらァ」
高杉の言葉にAは来た道を数歩戻り、高杉の前へ。
きょとんした顔で見るAの頬に手を添え、じっと目を逸らさない。―――−− 逸らせない。
「銀時と桂。…江戸にいるぜェ」
貴「・・・そっかァ」
貴「まァ晋助も含めて、」
貴「死んでは無いとは思ってた」
思っていたけど。分かっていた事だけど。
"その名前"を聞いただけで、Aは落ち着かなくなった。
ぎこちない笑顔に変わったAの表情。
高「…そうかァ」
言葉の中にには、"背徳感と嫉妬心"が入り混じっていた。
だが、それを言えるほど人間はできていなくて。
貴「ん、―――」
少し背中を丸めて、Aの額に唇を寄せると、前髪越しにキスを落とした。
高「…何しおらしくしてンだ」
高「昔はお前ェから頼んで来たくせに」
貴「言ってない」
高「言ってた」
貴「…っ言ってないもん!!!」
額を押さえながらベェと舌を出し、船へと戻っていくA。
その姿を見ながら、心地良い笑いを零す。
高「そうかィ」
高「まァ、気が向いたら又してやらァ」
高「…後なァ、」
再び呼ばれた名前に素直に立ち止まる。
だけど、振り返る事は無く。
高「俺も近ェうちに行くから―――−−
「 待ってろ 」
2人の間に、硬くきつい機械の扉が閉まった。
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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時