【高尾和成】君の仰せのままに−執事シリーズ−

執事【10】 ページ11

あ「和っ…!!」









こういう時ばっかり、呼び捨てにして。









和は怒ると必ず私を呼び捨てにする。









高「今までは、Aが言うことだからはいはいって聞いてきたけど今回は引き下がんないよ」









こうなると絶対に引き下がらない頑固な和。









あ「和、言う事聞いて」









高「言う事聞くのは俺じゃない、Aだよ」









そう言って、私の首筋に顔を埋める。









びくんっと大きく身体が反応する。









高「ほら、こんなことだってされちゃうんだよ?









到底、Aの力じゃ敵わない」









そんなのは分かってる。









だけど、それでも和の言う事は聞けない。









私が学校で和を傍に置いておきたくないのは訳がある。









・









私のせいで、和の自由を奪いたくない。









和は友達もいっぱいいるし、昼休みなんかも友達が嫌でも集まってくる人気者。









いつも楽しそうに友達と遊んでる。









私はそんな時の和を見ているのが好き。









だけどそれが私のせいで崩れてしまうのが嫌だ。









だから、お願い和。









あ「和、私はなにを言われても和のお願いは聞けない。









だから早く退いて」









高「……Aちゃんのわからずや」









和はそう言って私の上から退いて部屋を出て行った。









初めてかもしれない、和と喧嘩をしたのは。









あ「……痛い」









それは、和に掴まれていた腕じゃなくて自分の心だった。

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