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「起きて。ねえ、起きてよお……」
そう藍良くんが一彩くんの頬をつんつんと突いていると、ガバッと一彩くんが勢いよく顔をあげ、目を丸くして起きる。急に起き上がったものだから、オレたちは悲鳴に近い声を上げる。
「……！？」
「んっひゃ！？」
「うおっ」
「……？……？」
あれ、寝惚けてるのかな。一彩くんは辺りをきょろきょろと見渡している。「おはよう」と声を掛ければ、少し掠れた声で「おはよう……？」と返事が返ってきた。気持ちよさそうに寝てたのにごめんねェ。そんな思いを込めて一彩くんの頭を撫でる。
たちまち一彩くんは気持ちよさそうに目を細める。一彩くんの髪って、ふわふわで柔らかくて触り心地がいいんだよねェ。猫みたいに。ほんとはもっと撫でていたいけど、本題に入らないといけないし。そう名残惜しそうに一彩くんの髪から手を離す。
すると、一彩くんは視線をオレから藍良くんの方を向いて、ゆっくりとたどたどしく問いかける。あ、これは寝惚けてるな。
「ここは、どこだ……？君は……？君は、アイドルか？」
「へ？」
「……いや、違うな。君はアイドルじゃない」
「はあ？いや、一応アイドルなんだけどなあ……？」
そう藍良くんは眉を八の字にして、心外だとでもいう顔をして不満そうに言う。それにしても一彩くん、結構ひどいこと言ったよね。知らない人に言われたら、オレならブチギレてたかも。
「無理やり起こしてごめんねェ。でも、そうしないといけなくてさ」
「この声は……Aか？」
「うんうんそうだよォ〜。で、話戻すんだけど……この子の腕、見える？さっきからキミが万力みたいに握りしめてて痛いんだって。痣が残りそうだし、早く離してくれないかなァ？」
「……？ああっ、これは失礼した！申し訳ないよ！でも決して君を傷付ける意図はなかったっ、深く陳謝する！」
そう藍良くんに申し訳なさそうな顔をして謝る一彩くん。なんかすごい古臭い謝り方するんだ。ちょっと意外かも。もしかしてキャラ？いや、見た感じ素だと思うけど。田舎から来たのかな……？
すごいなァ。田舎から働くために都会に来た人は、大半すぐに辞めちゃうのに。しかもよりによって色々と厳しい難しいアイドルに。あ、だからこその「アイドルを滅ぼす」「アイドルを殺す」って、いう恐ろしい寝言に繋がるのかなァ？
続く (更新停止中)
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作成日時：2023年5月5日 3時
