【あんスタ】5人目の『落ちこぼれ』くん【男主】 (ページ5)

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うーんと一彩くん用に淹れた紅茶を一口啜っていると、藍良くんが「それより！」と、勢いよくいきなり席を立ち上がってオレを見た。

「梅森先輩ってなんで活動停止してたの？なにか事件に巻き込まれたりとか？聞きたいことがたくさんあるんですけど！」

「Aでいいよ。えっと、詳しくは言えないんだけど……簡潔にいえば停止理由は家庭の事情かな。それ以外はノーコメントで。代わりにサイン書いたり、一緒に写真は撮ってあげるから」

「うう、聞きたかったけど残念……プライバシー侵害になるもんね。ごめんなさい。じゃあ、これにサイン書いてください！」

「全然おっけェ。ここに書けばいいんだね。任せてよ！」

そう藍良くんを座らせ、手帳とペンを受け取り、手慣れた手つきでサインを書く。わくわくという期待の眼差しで手元を見られるのは久々で、失敗しないか不安になり、緊張で少し手汗が出てくる。あーあ。藍良くんの私物、汚しちゃったなァ。

あらら、ちょっと歪んじゃったかも。最高のサインにしたかったんだけどなァ。またサインを書く練習しておかないと。「できたよォ」と手帳とペンを藍良くんに返そうとした時。ぱしっと、一彩くんの大きな手が藍良くんの細い手首を強く掴んだ。

突然の出来事に藍良くんは「うひゃっ！？」と可愛らしい悲鳴をあげた。一瞬、一彩くんが起きたのかと思ったけれど、どうやらまだ夢の中らしい。相変わらず恐ろしい寝言は言っているが。

「うわっ、力強すぎっ！ほんとに寝てるの？！」

「あらら……痣になるのも時間かなァ」

藍良くんは頑張って振り解こうとするが、体格差のせいなのかなんなのか、一彩くんの手は全くびくともしない。しかも、藍良くんによると拒む度に力が段々と強くなっていってるらしい。

「一彩くーん。起きてよォ……うん、起きないね」

「ええっ、最悪なんですけどお！」

「思いっきり叩き起こさないとだめかァ」

そうぺちぺちと頬を軽く叩いたり、体を大きく揺らしたりしてみたが、瞼は硬く閉じたままで全く起きる気配はない。すごい。逆に図太いというか。やっぱ昨日、ぐっすり眠れなかったのかな？そう思いながら、藍良くんと一緒に一彩くんを起こしてみる。