花笑みのきみ (ページ48)

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43　金平糖ページ48

風間は
水差しから揃いのグラスに水を注ぎながら

「昔から、みやびは血が薄いんだよな。」

とつぶやいた。

「･･でも
このお薬に変えてもらってからは
貧血になる数はずっと少なくなりました。」

と
鼻にかかった甘えた声で答えるみやびは
智三郎にもたれかかりながら
水がたっぷり入ったグラスを風間から受け取った。

「ちょっと苦いのが玉に瑕なんだけど･･」

自分のてのひらにちょこんと置いた三角包みの薬包を見ながら
唇を尖らせるみやびに
風間は

「良薬は口に苦しって言うだろ？」

パチンと片目をつぶって言い返す。

智三郎も二宮も
みやびには激甘だが
この風間も負けてはいない。

だから今もほら･･

「ちゃんとお薬を飲んだら
みやびにこれをあげるよ。」

と
自分の懐から
色とりどりの金平糖の入った小瓶を取り出して見せた。

「わぁっ♪」

と目を輝かせたが
それも一瞬だけ。

すぐにみやびは
ぷうっとほっぺたを膨らませ

「もう、子ども扱いしないで！
そんなのなくても、薬ぐらいちゃんと飲めます！」

つんっとそっぽ向いてしまった。

拗ねても可愛いみやびに
風間のニヤニヤ笑いが止まらない。

「あ、そう。
じゃあこれは、私がいただくとしよう。」

と
小瓶を振って
金平糖をカラカラと鳴らしたら
みやびは

「あー、だめだめ！やっぱりちょーだい！」

慌てて風間の腕にすがりついた。

あはははっ♪と弾けるように笑った風間は
必死の表情で
ぎゅうぎゅう
腕にしがみついてくるみやびを
蕩けそうな優しい目で見つめている。

そして

「大丈夫、ちゃんとみやびにあげるよ。
だから
苦くてもお薬を飲むんだよ。」

みやびのおでこをチョンと指先でつついた。

そこでようやく安心したみやびは
ぱあっと明るい笑顔になって
うん♪っと頷いた。

その笑顔がまぶしくて
智三郎は目を細めてしまう。