632 純友の回想 ページ11
ある日‥
瀬戸内近海に出没する海賊を取り締まるように上司から言われ
渋々、巡回していると‥
たまたま‥
本当にたまたまなのだが
純友は
金の髪のあやかし智が
商業船を何隻も何隻も
木っ端微塵に破壊していくのに遭遇した。
その時の衝撃は
純友には忘れがたいものだった。
智は
表情を変えることなく
無造作に
人の命を奪っていく。
本来なら
あやかしに襲われている漁師たちを
国司である純友は
救うべきなのだろうが
島影に隠れて
純友は
震えながら殺戮の光景を見ていた。
それは
阿鼻叫喚の
あまりにも恐ろしい光景‥
しかし
恐ろしいが
純友は
自分の体の奥に
熱い塊がこみ上がってくるのを感じていた。
(これだ‥！
金も地位もない俺がのし上がって行くには
こんな圧倒的な力がいるんだ。)
強大な力さえあれば
身分や家柄に関係なく
誰にも縛られず
どこまでも
どこまでも行ける‥！
思うように生きることができる。
あの力を手に入れて
そんな国を
自分の手でつくりたい！
斗真に
自分と同じ思いを、させないためにも‥。
・
「あと‥、あとちょっとだったんだ。
斗真‥。」
純友のつぶやきに
斗真が小さくうなずく。
「あとちょっとで‥
新しい国が‥
お前のためでもあったのに‥
なのに
お前を‥、俺が ‥ 」
さっき
自分が潤雅に言った言葉が
純友の頭の中で繰り返される。
『おつとめのためなら
我が子も
手駒の一つとして使い捨てにする‥』
それは
紛れもなく、俺のことだ。
斗真よ‥
お前を
都に行かせても良かった‥。
船大工の修行を本格的にさせても良かった‥。
お前には
いろんな可能性があったのに‥
俺は
お前自身になにも選ばさせず
自分の野望のために
お前を
戦いに巻き込んだ‥。
そして
結局
お前を
手にかけてしまった‥。
俺には
お前しかいないのに‥
・
『どうだい？
自分の息子を殺した気分は？』
そう言った時の
俺を睨みつけた潤雅の眼‥。
苦しげに歪んだ潤雅の顔‥。
あの時のお前の気持ち‥
一番分かるのは、俺だ‥。
なぜなら
俺も
我が子を
手にかけたのだから‥。
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asami(プロフ) - 一気読みしました、面白かったです。優美な平安貴族雅紀さんも、海で暮らすうつほもどっちも好きです！個人的には潤雅が好きです。何はともあれ幸せに終わって良かった！！ (2020年4月12日 19時) (
レス) id: 58c67b34bd (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - がっはさん» あやかしを読んでくださって本当にありがとうございます！ものスゴく嬉しいです！こちらを書き上げてしばらくぼんやりしてたのでコメいただいてることに気づくのが遅くなってごめんなさい。読み返すだなんて、もう泣きそうです。ずっと緑さんを応援しましょうね。 (2017年9月18日 9時) (レス) id: c6f10b192f (このIDを非表示/違反報告)
がっは(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました。終わってしまうのが寂しいです。きっとこれからも何度も読み返すと思います。これからも緑愛に溢れた作品期待しています (2017年9月3日 6時) (レス) id: c4dbbce966 (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。最後まで書けて良かった。けめちゃん、ずっと見守ってくれて本当に本当にありがとう！けめちゃんにコメもらえて本当に嬉しいです。ありがとう！！ (2017年8月29日 22時) (レス) id: c6f10b192f (このIDを非表示/違反報告)
はっしー(プロフ) - けめさん» けめちゃん、私にとってこのお話は特別なものです。何で特別なものかというと、長い間あたためてきたからというだけでなく沢山の方に応援していただいて書き上げられたお話だからです。応援してくれた人の一人がけめちゃんです！けめちゃんの言葉にどれだけ励まされたか (2017年8月29日 22時) (レス) id: c6f10b192f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はっしー
作成日時：2015年3月24日 2時
