【マギ】彼女の素顔【アリババ】 (ページ45)

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第44夜ページ45

一時アジトは騒然としたが、少しは収まりアリババと彼女は下へと降りていった。

バル｢若！すっかり見違えましたな！｣

アリ｢バルカーク！｣

バル｢あの頃、私が王宮で剣術を教えた小さな少年とは思えませんな！｣

彼はアリババの剣の師だった。

バル｢本日は、密命を受けて参りました。副王がどうしてもあなたに会いたいとおっしゃいまして...｣

アリ｢兄さん...｣

『？なぜ...？』

アリ｢A...そうだ。サブマド兄さん、なんでこんなところに？｣

サブマドは大量の汗を浮かべ、震えている。

サブ｢ア...アリババは...すごいね.....こ...こんなア、“アジト”で...こんな大勢の盗賊団の“おかしら”なんてす、すごいや。｣

ぽつぽつ、とサブマドが話し出した。

サブ｢ぼ...僕なら無理だ...震えちゃってできないな.....い、今だってそうなんだ.....知らない人がいっぱいいると...あ...足が震えて止まらないんだ.....！｣

怯えて震えているサブマドの方を、バルカークがしっかりと掴む。

バル｢若...副王がこのような状態をおしてここへ来たのは、あなたと大切な話をするためです。｣

サブマドの代わりにバルカークがここに来る意味を話し出す。

バル｢ここは我々にとって敵地。それを承知で、命懸けで赴いた副王の気持ちをお察しください...｣

そこに、騒ぎをかぎつけたシンドバッドも降りてきた。

シン｢よう、サブマドじゃねーか。｣

サブ｢お、おじさん...｣

シン｢人前に出るのを極度に恐れるお前が何しに来た？アブマドに言われて...って訳じゃあないんだろ？｣

シンドバッドがサブマドに近付く。

シン｢安心しろ。話し合いの場を設けるさ。身の安全も保証してやる。｣

サブ｢う、うん...でも僕は.....謝らなきゃいけない...おじさんの命を危険にさらしたことを...｣

シン｢ふぅん...なるほど、そうだったのか。｣

シンドバッドは何かに気付いたようだった。

『(...まさか。嘘でしょ...)』

彼女も何か分かったようだ。

シン｢あれほどの情報を握っているなんて、かなり中枢の人間だとは思っていたが...お前だったなら納得がいくな。｣

｢？｣

団員たちは何を言っているのか分からない、という表情。

シン｢俺が“霧の団”を狙っていたことをリークしたのも、全部お前だってワケだな...？｣

サブ｢...｣

シン｢サブマド！！｣

『！！』

あまりに、衝撃的なことだった。