第39夜 ページ40
シン「姫君。」
シンドバッドが、話しかける相手を紅玉へと戻す。
シン「私は現在一国王として、ワケあってこの国に滞在しているのです。もし、貴女もそうならばしかるべき場所でお会いしたいものだ。」
紅玉「.....分かったわよ...皆の者。」
紅玉が力なく答える。
紅玉「帰るわよ。」
夏「えっ...?姫君、しかし...」
紅玉「いいから、今日は帰るのよっ!!」
夏黄文の言葉も遮り、紅玉が命令した。
紅玉「いいことっ!?別に、あんたに言われたから帰ってやるわけじゃないんだからッ!!」
そう言い残し、紅玉らは帰って行った。心做しか、その表情は赤かった。
「.....行っちまった...」
「とにかく、助かった...!!」
「ケガ人の手当を!」
紅玉らが帰って言ったことに皆安堵し、それぞれ動くのであった。
『っアラジン...』
アラ「...あ、Aさん...」
彼女がアラジンの頭を撫でる。
『どうか...気を確かにね。いつでも、私のところに来ていいから。』
これが、彼女の今できる精一杯のことであった。
アラ「...うん。」
『っ...じゃあ、後でね。』
そう言い残し、彼女はケガ人の手当てへ向かった。
アリ「...A!」
のだが、途中、アリババに止められた。
『え、アリババ?どうしたの?』
アリ「えと、あの...さっきは大丈夫だったか?その、ケガ...とか...」
先程、自分を庇い戦ったことを心配していたのだった。
『へ?あぁ、なんてことないよ。大丈夫!平気平気!』
アリ「だってお前、その前にも戦ってケガしたのに...俺の力不足で...ほんとごめん!!」
『だから、大丈夫だって!そんな気負わないの!ほら、そんな心配してる暇あるなら自分と他の人の手当て!』
いつもと同じように接する彼女。言葉だけでなく、態度でも大丈夫だと示していた。
アリ「!...おう!」
それを理解したアリババは、少し元気が出たようだった。
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作者名:ミカ | 作成日時:2017年9月21日 21時