にじむらせんぱい ページ20
虹「なぁ・・・無理、しなくていいからな?」
どんな日でも部活があれば青峰を連れてくるAが心配になって、ある日声をかけてみた。
『やです。にじむらせんぱいとのやくそくです。わたし、やくそくはまもるしゅぎだから』
青峰をこちらによこしながらこっちをまっすぐ見つめるAの目は本気だった。
『せんぱいせんぱい』
こしょこしょと寄ってきて手の中から出したものは
『はいっ』
虹「コーヒー飴?くれるのか?」
コーヒー飴だった。コクリ、そう頷いて子犬のような顔をして渡されちゃあ、貰うしかない
虹「あぁ。ありがとな。」
ふふふっ、そう笑って体育館を出ていったA。石鹸の香りがした。
青「えっ、オレ物みたいに扱われてね?」
──────────
引退する時がやってきた。
引退式も終わって、学校からも早く変えるようになって、もうAを見ることも少なくなっていた。
アメリカに行くことが決まって、だからまぁ受験勉強も主に英語やってればいいから、大体学校の図書室とかフラついて帰ることがほとんどだった。
ある日、図書室への渡り廊下を歩いているとき、
──────────♪
虹「?」
ホールから歌声が聞こえた。
特にすることもないので寄ってみると、Aが踊っていた。
『〜♪〜♪』
この歌、聞いたことあるな・・・たしか音楽の授業で・・・
ゆったり踊る姿と、目を瞑って歌うAの声に癒された気がした。
『〜♪』
ぴたっ、止まった。一人で踊っているのに、社交ダンスが完璧に成り立ってるように見える。もう1人、男がAを支えているように見える。ゆっくり手を下ろしたAは、入口にたってる俺に気づいたようだった。
『はぎゃっ』
びっくりした・・・のか?
虹「歌うまくて、その、すごいな、なんか、癒された。」
勝手に覗いて申し訳ないが、それ以上に癒された。マジで歌上手いんだな。
『んふ、ふふふっ』
こっちに寄ってきて、なんか見つめあった。3秒くらいしてAが一言
『ぐっぱい、しーゆー』
ぱっ
Aは鼻歌を歌って歩いて俺を通り過ぎていった。
何が起こったかわからなかった。石鹸の香りがまだする。ハグされたんだろう。2秒くらいしてやっと気づく。
虹「・・・」
俺そんなに変態だったか?自分でも分かるくらい鼻の下が伸びていた。
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つゆロロ(プロフ) - あひるさん» ありがとうございます。荻原ちゃんの楽器についてですが、お好きなものを想像してください(笑)私的にはバリトンやユーフォなどの低音楽器をイメージしておりますが。初コメントうれしいです!これからもどうぞ、見守ってくだされば幸いです((*_ _) (2017年11月20日 19時) (レス) id: 3fbfa2c7b2 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!因みに夢主ちゃんの楽器はなんですか? (2017年11月20日 1時) (レス) id: a0a203a011 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つゆロロ | 作成日時:2017年11月7日 0時