黄瀬さん ページ28
翌日。
「うん・・・今日は行けそうな気がするッス!!」
いつもならそこで斜め前の席の緑間っちが突っ込んできてくれるけど、やっぱりじっと前を向いている。はぁーぁ、アレはオレ、悪くないじゃないっスか。
渡ってきた国語の問題用紙に名前を書きながら、
「もう・・・戻れないんスかね」
Aっちとぶつかったあの日とか、Aっちと紫原っちとの絡みとか、青峰っちがAっちにセクハラしてた時とか。部活の中であった楽しいことを思い出す。
«・・・では、始めてください»
あれ、なんで楽しい記憶の中にいつも、Aっちがいるんだろう。
──────────
«・・・終了です。これで五教科全部ですね。お疲れ様でした»
「ふぅ・・・」
クラスのみんなでため息をつく。今日は帰りのホームルームも、掃除も何も無いからあとは部活だけ。
部活・・・だけ。
『黄瀬さーん?』
表情が曇っているまんま、教室のドアにひょっこり顔を覗かせたAっちを見てしまった。
『む、ちょうはつか?』
「あっ、いや、ソーユーのじゃ無くてっスね!?」
慌てていつもの笑顔を作る。あれ、今日は笑顔の出来が良くないな・・・
『・・・黄瀬さん』
Aっちが近づいてくる。みんながいなくなった教室へ、遠くからざわめきが聞こえる教室へ。
オレしかいない、オレの心の中みたいにスッカラカンな教室に、花が入ってきた。
ムニッ『わらったかおはつくるもんじゃあ、ない』
Aっちがオレのほっぺを引っ張る
「・・・ッ」
正直、ちょっとムカついた。オレの内情なんか知らないくせに、よく小説とか漫画とか、そんな夢みたいなものにあるセリフをのうのうと言っちゃって。
『ばすけ、たのしくないんでしょ』
「・・・」
何も言えなかった。今口を開いたら心の毒がすべてAっちに向かって出ていきそうだった。
『なかまとけんかしたんでしょ、それでもう戻れないとか、へんなことおもってる!』
オレの中の何かがぷちっと切れた
「・・・アンタに関係ないじゃないっスか。大体バスケ部につきまとって、本当は誰か目当ての人がいるから青峰っちとか利用してたんじゃないっすか!?それから〜」
心の中にあるもの全て全て、Aっちにぶつけてしまった。
「〜アンタ、タダの偽善者でしょ!?」
全て言い終わって肩で息をしながら目をつぶる。
あぁ、恩人に何してんだろ、オレ。
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つゆロロ(プロフ) - あひるさん» ありがとうございます。荻原ちゃんの楽器についてですが、お好きなものを想像してください(笑)私的にはバリトンやユーフォなどの低音楽器をイメージしておりますが。初コメントうれしいです!これからもどうぞ、見守ってくだされば幸いです((*_ _) (2017年11月20日 19時) (レス) id: 3fbfa2c7b2 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!因みに夢主ちゃんの楽器はなんですか? (2017年11月20日 1時) (レス) id: a0a203a011 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つゆロロ | 作成日時:2017年11月7日 0時