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9 タイプ:ヌル ページ9

グラジオの借りている部屋はスッキリとしていて、最低限のものだけで暮らし、寝泊まりしているといった印象だった。

「グラジオがモーテルに泊まっているなんて、想像付かないな・・・。」

Aは正直に感じたことを言った。あの頃は、ずっとエーテルパラダイスの中で遊んでいたから。

「外の世界を見るのも、悪くない。」

グラジオは遠い眼差しで呟いた。

Aにはエーテルパラダイスで遊ぶ他に、父に連れられ色んなところへ行った覚えがあるが、グラジオたちは違ったのかも知れない。


Aはグラジオに断って椅子に座り、グラジオはテーブルにモンスターボールを置き、ベッドに腰掛ける。

テーブルに置かれたモンスターボールに、Aの目が行った。

「グラジオも、ポケモンを持っているの?」

Aはまだ見ぬグラジオの相棒を是非見たいと思った。

グラジオはそんなAの気持ちを解っているかのように、モンスターボールを手に取ってポケモンを出した。

「タイプ:ヌルだ。」

出てきたポケモンの前で、Aは両膝を付いた。

「タイプ:ヌル?・・・変わった名前ね。・・・よろしくね?」

ヌル、何もないという意味を持つ言葉。どうしてそんな名前なのか、Aには分からなかった。

タイプ:ヌルは、まるで他のポケモンのものを取り付けたような前足を持ち、顔には重そうな仮面を付けていた。

どうして仮面を着けているのだろう、と思った。グラジオにそれを聞こうとしたとき、

「・・・!」

ヌルがAの左腕を引っ掻いた。

「ヌル!」

グラジオに叱られて、ヌルはすぐにAから離れた。ピジョンも驚いて、バサバサと羽を広げながら威嚇する。

Aの腕の引っ掻き傷から、血が滲み出てきた。

「痛いか。」

グラジオはAの手首を取り、血を拭った。

「大丈夫、変わった名前なんて、失礼よね・・ごめんね。」

ヌルの爪は鋭いため、引っ掻かれた程度でも、傷は深く痕になることがある。グラジオはすぐに手当てをしてくれた。

「いや・・・悪かったな。」

止血しながら、グラジオはヌルの代わりに詫びた。彼自身何度も引っ掻かれた経験がある為か、薬や包帯を持っている上、手当ても手際が良い。

バトルで強くなることを求められている為、ヌルは急に距離を詰めたAを敵だと思ってしまったのだった。

しかし、グラジオがAの手を取り、Aが安心してグラジオの傍に居るのを見て、ヌルもAが敵ではないと分かったようだ。
 

10 譲り合い→←8 面影



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設定タグ:ポケモンSM , グラジオ , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす!執筆も楽しみながら頑張ります!応援ありがとう! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです!応援しています!頑張ってください!! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです!執筆頑張ります☆コメントありがとう! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます!またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに!また読んでくれてありがとう! (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カーター | 作成日時:2016年12月6日 22時

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