44 庇い合い ページ44
「捕らわれる以上のことはされない・・・？そんな事は、信じられない。」
グラジオは、Aから語られた都合の良い話を受け入れなかった。
この場でリーリエ探しを諦めて良いわけではないが、相手はあの、正気を失った母なのだ。捕まれば、何をされるか分からない。
「オマエが行くことは無い。ヌルが目的なら、オレがあの場所へ行くまでだ・・・！」
ヌルも今まで、共に力を付けてきた。簡単に奪い返されたりはしないと、Aを説得する為言葉を並べたが、今度はスカル団員が横からグラジオへ文句を言った。
「おいおい、ボスはオマエじゃなくて、あくまでこの女をお呼びなんだよ！オレたちの手柄になんねえと意味ねえだろ。」
当然、Aもグラジオの言うことには首を縦に振らない。
「こいつらの手柄なんてどうでもいい。このままオマエが連れて行かれるなら、オレも船に乗る。」
「グラジオ、来ちゃダメ・・・！！来る位なら、リーリエちゃんが捕まらないように、見つけ出して助けてあげて・・・早く！！」
二人が言い合っている間に、スカル団はグラジオやヌルを押し退け、乗船所に用意した船に、無理にAを乗せさせた。
グラジオも続き、船へ乗ろうと足をかけたが、Aがスカル団員に両腕の自由を取られながらも、船の入り口に立ち塞がり、グラジオを通せん坊した。
「A・・・！？」
グラジオは思いがけない行動を取るAを見つめ、必死に訴えた。
「こんな事するな・・・！頼むから・・・退いてくれ！！」
「ダメだよ・・・グラジオ、お願いだから・・・早く行って・・・。」
詳細を何も知らないスカル団員は、グラジオがこれ程狼狽えるのを見たことが無かった。しかし、生憎彼らは、疎ましく思っていたグラジオがそんな顔付きになるのを見て、気の毒とも思わない。
遂に、Aがその場を退かないまま、グラジオが船に乗れないまま、船のエンジンがかけられた。
頑なな彼女を強引に引っ張ることも出来ない。抱きしめることも出来ない。
「絶対に助けに行く、すぐに追いかけるから、待ってろ・・・！」
そんな言葉をかけることしか、出来なかった。
Aは涙ながらに、首を左右に振った。
船が乗り場を離れ、スカル団員と共に大人しく座るAの姿が見える。その姿も段々、グラジオから遠くなっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす！執筆も楽しみながら頑張ります！応援ありがとう！ (2017年1月9日 23時) (
レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです！応援しています！頑張ってください！！ (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです！執筆頑張ります☆コメントありがとう！ (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます！またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに！また読んでくれてありがとう！ (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カーター | 作成日時：2016年12月6日 22時
