35 恋 ページ35
また思い出させてしまうのではないかとなかなか切り出せなかったが、Aも今度は流石に泣き出さないようなので、グラジオは少し安心してしまった。
Aは母を非難するどころか、自分が悪かったと肩を落とした。
大人も顔負けの、謙虚で素直な姿だ。
「オレも、母の事情を分かっていながら家を出た。オレもオマエも・・・母の前では、そうするしか無かった。」
きっと誰のせいでもない。そう思いたかった。
「・・・誰のせいでもないよ。」
Aは、グラジオがまさに心内で思っていた言葉をくれた。
グラジオの心も、その言葉をかけてもらうことで、まだ頑なに絡まる鎖のようなものがひとつ、解けていくように思えた。
責任を逃れたくて誰にも罪を問わない、ヘラヘラしている言葉とは違う。
心から自分や家族の気持ちを理解してくれる、優しい声。
「オマエのこと、好きだ。」
不意を付かれて、Aの心臓が一度強く鳴った。普段、グラジオの口からそんな言葉が聞けることは無い。
グラジオと目が合ったとき、その顔は思うより真剣で・・・。
「・・・ありがとう・・・。」
幼馴染で改まるのは照れ臭いが、ダイレクトな褒め言葉は嬉しい。Aは頬を染めて微笑んだ。
ところが、それは褒め言葉ではなかった。
グラジオはAの肩に手を添え、続けた。
「三日で気持ちが動くわけ無いと鷹を括っていたら・・・今日、オマエがオレの前から消えそうになった。結果的にそうはならなかったが、また先延ばしにして、後悔したくない。だから言わせてくれ・・・。
A・・・恋人として、見てくれるか・・・オレのこと。」
「・・・グラジオ・・・。」
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カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす!執筆も楽しみながら頑張ります!応援ありがとう! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです!応援しています!頑張ってください!! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです!執筆頑張ります☆コメントありがとう! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます!またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに!また読んでくれてありがとう! (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カーター | 作成日時:2016年12月6日 22時