26 逃走 ページ26
泣きながら、走りながら、Aは通路を走り続けた。
・・・誰か、助けて・・・！！！
味方になる者は誰も居ない。財団の職員が、命令に取り憑かれたように左右から迫ってくる。
何とか誰にも捕まらず一人でエレベーターに乗り、地下一階へ向かうことは出来たが、乗ってきた船までも、ルザミーネの命令で止められてしまったら。
不安が彼女を襲い、このまま捕まってしまったときの地獄絵図が頭に浮かんでしまう。
地下一階へ降りたとき、彼女に見えたのは・・・。
グラジオ・・・！
走ってこちらに来るグラジオの姿だった。
「A！！」
グラジオはあの後、居ても立ってもいられなくなり、すぐに支局へ出向き、運良くそこに居たビッケに頼み込んで小型船を出してもらっていた。かくして、この場所に辿り着いたのだ。
ちょうど地下にも連絡が行ったのか、一階で仕事をしていた職員たちが、Aをじろりと見て捕えようと向かってくる。
「・・・助けて・・・。」
グラジオは、怯えるAを見て、周りの異様な空気を感じ取ると、すぐにAの手を引き、走った。
母が正気でないことは、分かっていたはずなのに、
何故一緒に来て、守ってやらなかったのか。
グラジオは後悔していた。
「着けてある船に乗れ！」
Aの乗ってきた船は、運転士不在で使えなかった。グラジオは自分が乗ってきた船へとAを乗せ、自分も飛び乗って急かした。
「船を出してくれ、早く！！」
「え、えぇ。」
着いたばかりの船を再び出すよう指示され、運転士はよく分からないまま、船を発進させた。
二人は何とか職員たちの手に捕まること無く、エーテルパラダイスから脱出した。
「A・・・。」
グラジオは、座ったまま俯いて息を切らすAの両肩に触れ、顔を上げてくれと頼んだ。
「グラジオ・・ごめんなさい、ごめんなさい！！私、手紙を渡せなかった・・・。」
Aは壊れてしまったように泣きじゃくり、何度も何度も、グラジオから預かった手紙を渡せなかったことを詫びた。
グラジオは、あまりの恐怖と辛さに震えるAを優しく抱き寄せ、胸を貸した。
「・・・一人で行かせて悪かった・・・。」
本当に、あのまま港で待っていれば、Aは戻らなかったかも知れない。
何故Aが追われたのかまでは聞いていないが、彼女が腕の中に確かに居るのは、唯一の救いだった。
泣くなとも言わず、涙が枯れるまで、ずっと抱きしめていた。
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カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす！執筆も楽しみながら頑張ります！応援ありがとう！ (2017年1月9日 23時) (
レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです！応援しています！頑張ってください！！ (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです！執筆頑張ります☆コメントありがとう！ (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます！またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに！また読んでくれてありがとう！ (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カーター | 作成日時：2016年12月6日 22時
