22 変わらぬ雰囲気 ページ22
支局から出た船がエーテルパラダイスへと辿り着くまで、Aはピジョンと海の景色を楽しんだ。
カントー発の大きな船とは違い、水面がうんと近くにある。ヒトデマンやメノクラゲが気ままに泳いでいるのがよく分かる。
アーカラ島も見えなくなって、数年ぶりのエーテルパラダイスが、徐々に形となって見えてきた。
A自身成長している筈なのに、Aが居た頃よりもずっと、その楽園は大きな建物になったように感じる。
「懐かしい・・・エーテルパラダイス。」
Aにとって良い思い出の詰まった場所。グラジオに色々聞かされてはいても、やはり変わり果てた印象など、すぐに持てはしなかった。
船は、エーテルパラダイス地下の船着場に入った。
Aはピジョンをモンスターボールへ戻して船を降り、エレベーターでエントランスのある一階へ向かった。その先に、ルザミーネの部屋がある。昔のことでも、よく覚えているものだ。
「A様ですね。代表のお部屋までご案内致します。」
エレベーターが到着し受付を訪れると早速、案内係が丁寧にAを迎えた。支局から来客の連絡が伝わっているらしかった。
代表と会うのが終わったら、帰る前に二階の保護エリアを見て回ろうと、Aは廊下を歩きながら考えるのだった。
「代表、A様がお見えになりました。」
やはり、ルザミーネに会うのは緊張感があった。小さな子どもだった頃から年月が経ち、Aの気が引き締まる。
「Aちゃん、よく来てくれたわね。」
ルザミーネは、あの頃と変わらず・・・いや、あの頃にも増して綺麗だった。
グラジオと同じ、緑の目。そしてAを呼ぶ優しい口調も変わらない。
「ルザミーネさん、お久しぶりです。」
Aはお辞儀をして、ポッポサブレをルザミーネに渡し、笑顔を見せた。
「大きくなったのね。・・・それに美しくなった。」
ルザミーネがそう言うもので、Aは顔を赤くして、恥ずかしそうに笑った。
「そんな、ルザミーネさんに褒めて貰えるほどではありません!田舎に馴染んでしまったと笑われそうで・・・。」
「そんなこと無いわよ、私が言うのだから安心してちょうだい。カントーのお母様はお元気?」
「はい。父が亡くなってから働き詰めですが、体も壊さず元気にしています。」
・・・ルザミーネさん、変わらない。よく笑っている、いい人だ・・・。
Aは、グラジオから聞いていたルザミーネの影が見えてこないので、安心していた。
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カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす!執筆も楽しみながら頑張ります!応援ありがとう! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです!応援しています!頑張ってください!! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです!執筆頑張ります☆コメントありがとう! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます!またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに!また読んでくれてありがとう! (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カーター | 作成日時:2016年12月6日 22時