20 託した物 ページ20
翌朝。Aは日の光が差すのを感じ、目を覚ました。
グラジオは、もう何十分も前から目を覚ましていたらしく、一度外出し、自分たち二人とポケモンたちの朝食を買って来ていた。
「おはよう、ごめんね・・・?私、ずっとベッド使っちゃってたんだ・・・しかもこんな時間まで。」
「気にするな。疲れてたんだろ。」
ピジョンが羽ばたいて、グラジオの肩に止まった。食べ物が待ち切れないようだ。
どうやらAに代わって、今度はピジョンがグラジオを良い兄貴分だと思っているらしい。
Aは、ピジョンがグラジオにも懐いてきたのだと思い、ふふっと笑った。
昨日の天気が嘘のように、今日は良く晴れ、風も穏やかだ。いよいよ、Aがエーテルパラダイスへと行く日がやってきた。
朝食を終え、支局に船の確認も取れた。Aが支局へ着き次第、船着場へ案内があり出発となる。
バッグとポッポサブレを持って、Aは座っていた椅子から立ち上がった。
「そろそろ、行こうかな。」
エーテルパラダイスから港へ戻って来たら、一度周辺のホテルで空室状況を調べるつもりで居た。ダメもとではあるのだが・・・。もし空室があり予約が取れれば、グラジオと部屋を共にするのは一旦終わりになる。
「街までは一緒に行く。」
グラジオはシェードジャングルを共に下ってくれると言う。Aは彼の親切な申し出に頼ることにした。
「それと・・・行く前に、オマエに頼みがある。」
グラジオはそう言って、Aへひとつ大切な物を手渡した。
「これを、母に渡してほしい。」
グラジオが昨夜書いていた、あの手紙だ。
それは差出人の名も何も書いていない、白い封筒に入っていた。
「土産の袋に忍ばせるか、別れ際にでも渡すか・・・方法は任せる。」
グラジオが言わんとしていることは、Aにも解った。
「グラジオからの手紙だって、分からないように・・・それとなく渡せばいいのね?」
手紙の差出人が、勝手に家を出たグラジオからの物だと知れば、その場でルザミーネが怒り出す恐れがあった。勿論、そうならずにルザミーネが手紙を読んでくれれば一番良いのだが・・・。機嫌を損ねないように渡すことが重要だ。
「あぁ、面倒をかけて悪いが・・・頼む。」
「任せて。ちゃんと渡してくる。」
グラジオとルザミーネのために、これが自分の出来る最大の使命だと、Aは感じた。彼女はグラジオの手紙を受け取り、バッグの中へしまい込んだ。
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カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす!執筆も楽しみながら頑張ります!応援ありがとう! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです!応援しています!頑張ってください!! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです!執筆頑張ります☆コメントありがとう! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます!またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに!また読んでくれてありがとう! (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カーター | 作成日時:2016年12月6日 22時