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14 労い ページ14

朝から辛いことを聞かせてしまった。

「悪かったな。」

グラジオが話の締め括りに詫びると、Aは目を擦り、首を左右に振った。

Aはグラジオの言葉を受け止めて、彼が何故家を出たのか、どうしてヌルを連れ出したのか、グラジオの母が以前とどう変わってしまったのかを理解した。

「辛かったんだね。」

強請りもしなければ誰も与えなかった同情心を、Aは彼に与えた。その言葉だけで、グラジオの心に絡まった鎖のような何かが、緩んだように思えた。

Aはグラジオだけでなく、ヌルのことをも労り撫でた。


大体のことは受け止めたAだったが、グラジオが語ったことの中で、彼女にも受け止めたくないことがあった。

それは・・・グラジオの母が、息子に対する愛情などもはや抱いていないだろう、という彼なりの推測だ。

そんなことはあり得ない、という気持ちがAには残っていたのだ。いくら確執があっても、母親とはどこかで子を思っているもの。

ただそれを・・・グラジオに向かい指摘することは出来ずにいた。彼が自分の味方をしてほしいという思いは、Aにも伝わっていたのだ。だから、何も反論はしなかった。


グラジオは話のあと、しばらくAのしたいようにさせた。

彼女はピジョンと、それからヌルと、遊んでいた。段々とその顔付きも元通りに戻ってきた。


ポケモンたちは言葉を話さないが、時に人を癒やしてくれる。


窓の外の雨が僅かに弱まったところで、グラジオが呟いた。

「・・・食べる物、買ってくるか。」

ここのところスカル団と連み続け不規則になりがちだったが、まだ朝食を食べていない。

「そうだね、お腹空いた。私も行くよ。」

Aも立ち上がったが、グラジオはすぐに彼女を止めた。

「いや・・・オマエはここでヌルを見ていてくれ。すぐに戻る。」

僅かに弱まったとは言え、まだ雨も酷いうちだ。弱雨なら一緒に濡れるのも悪くないが、船も止まるような大雨では、いくら彼女が一緒に行くと言い出したとはいえ、考えものだ。

昨夜と違いAも意地を張らず頷き、今回はグラジオの帰りを待つことになった。

「覚えてる?」

と、Aは外に出ようとしたグラジオに声をかけた。

グラジオは、フッと笑いながら言葉を返した。


「甘口ロコモコと、パイルジュース。」


Aは嬉しそうに笑った。彼女の好物は、ちっとも変わっていないらしい。
 

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設定タグ:ポケモンSM , グラジオ , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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カーター(プロフ) - ココアンさん» 更新を楽しみにしてもらえて嬉しいてす!執筆も楽しみながら頑張ります!応援ありがとう! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
ココアン(プロフ) - 続きができるの楽しみです!応援しています!頑張ってください!! (2017年1月9日 23時) (レス) id: 73f1966ab0 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - るんさん» 気に入ってもらえて嬉しいです!執筆頑張ります☆コメントありがとう! (2017年1月4日 22時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)
るん - この小説大好き!! 続き書くの頑張ってね!! (2017年1月4日 19時) (レス) id: 7b07b0d042 (このIDを非表示/違反報告)
カーター(プロフ) - ななさん» 私も続きを完成させるためウズウズしてます!またハラハラする展開ですが、今後をお楽しみに!また読んでくれてありがとう! (2017年1月4日 8時) (レス) id: 4077529587 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カーター | 作成日時:2016年12月6日 22時

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