愛することすら、許されない【爆豪勝己】 (ページ43)

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「ようこそ、我が研究室へ。歓迎するよ、ダイナマイト」
「……どうも」

　艶やかな金髪を揺らし、青く澄んだ瞳を持ったハイド・クラーク教授は、私と爆豪さんを自らの研究室に招き入れ、楽にするように促した。

「あ゛ー……やっとまともに喋れるわ」

　大量の書類が机の上に積み上げられている部屋で、爆豪さんは帽子とサングラスを外し、素顔を晒した。

　ヒーローマスクをしていても感の鋭い人には分かってしまうものだ。特に爆豪さんは声を発しただけでバレてしまう可能性がある。あれ以上、人が多い食堂にいたら、本当に大騒ぎになっていただろう。

　今日までこの大学を訪れていることがバレなかったのが奇跡なのだ。

「あの、どうして帽子とサングラスを？」
「戻りが遅ぇから迎えに行くっつったら、あのゴーグル女がせめて髪と目を隠せってこれを寄越したんだよ。つーか……」

　爆豪さんはギロリと目を釣り上げて私を見下ろした。

「なんであんな男に捕まってんだよ！！ってかなんで研究室にいねーんだよ！！」
「すす、すみませんっ、いた、痛いですわっ」
「そりゃ痛くしてるからなァ」
「うぐぐぐっ、やめてくださいっ、せっかくセットした髪がっ！」
「あ？」

　拳骨で顔を挟むようにグリグリとこめかみを攻撃する爆豪さんに訴えれば、動きが止まった。ほっとして顔を上げると口の端を上げている爆豪さんと目が合った。

「へぇ。今日のために(・・・・・・)セットした……ねぇ？」
「あ……。べ、別に今日のためというわけじゃありませんわっ！これはただの気分です！」
「ふーん……どうなんだ？」

　爆豪さんは教授に視線を向けて意見を聞いた。教授に聞くなんてずるい。“話を合わせてください”とアイコンタクトを送ろうとしたが、その前に教授は口を開いていた。

「彼女がそんな髪型をしてるところなんて滅多に見みない」
「そ、それはっ、その時にお会いしなからで……っ」
「君と発目明は毎日どこかしらで目にするけど？」
「えっ！？」
「ふー……ん」

　教授の言葉で爆豪さんのご機嫌オーラは上昇した。ニヤニヤと私を見ている。言葉には出さないが言いたいことは伝わってきた。

　“やっぱり気合い入れてんじゃねーかよ。そんなに俺との食事が楽しみだったのか？”……だ。ああ、もう。悔しい。

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