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五話 ページ5

目の前にそびえ立つ一軒家。

ドヤ顔でこっちを見つめてくる相川さん。

その横で半ば諦めため息を吐く俺。

最早自分のチョロさに笑えてくる。昔学生の時に友人からお前押しに弱いよな、と言われたことが頭をよぎった。

ここまで来ればもう逃げることはできない。横には絶対に逃がさんとばかりに未だ俺の腕を掴む男がいる。

「…わかりました。住みます。だから離してください」

「ほっ、ほんとですか!!?え、いいんですか?やっぱやめるとか」

「大丈夫です。さあ、中に入りましょう」


______…


一通り家の中を探索して分かったことがある。

「すげーいい物件」

「でしょう?」

ふかふかのソファーに背中を預けて天井を眺める。そばにあった丸いクッションを手繰り寄せて触ってみた。

あ、これすげー柔らかい。てか何これ、何のキャラだ…

首を傾けて揉んでいると俺の正面で、もうひとつのソファーに寝転んでいた相川さんが上半身を起こす。

「それなんだと思います?」

「んー…餅みたいな、団子みたいな…」

「ふふ、食べ物ばっかだ」

「………お腹すいてるので。それで、なんなんです?」

馬鹿にされたようで少し不機嫌そうにそう聞く要に、からからと笑いながら真冬は手で丸を作った。

「てるてる坊主です!」

「…………あー…」

言われてみればともう一度見直す。白く丸いそれは口から涎を垂らしている。

なんだか情けない顔だなんて言ってみれば、何故か相川さんが怒ったように頬をふくらませた。

「それ…僕のオリジナルキャラクターです」

「え」

このだらしない顔のてるてる坊主が何故相川さんのキャラなんだ。

どう見てももっとキリッとしたイケメンキャラなはずだろ。頭の中ではそう思いながら声には出さず納得したように見せた。

音楽の仕事をしてると言ってたから、そこでのキャラだろうか。それにしても、どこかで見たことがある気がしてきた。

思考を巡らせるもなかなか思い浮かばない。

気になって聞いてみようかと思ったその時だった。ふと相川さんの足元にあるもうひとつのクッションに目がいった。

そうだ、この顔は、このクッションは、

「…After the Rain」

「え」

まさか、まさか。いや世界狭すぎだろう。つい最近テレビで見た有名人が、まさかまさか

「…あー、知ってたんですね」

目の前にいると思わないだろ。

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いおり - あ、あの…完結なんですか?そうじゃないことを祈りたい…。更新していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。 (2020年7月5日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
いおり - すっごい面白かったです!!これから夢主くんがどんな風に幸せになるのか、気になります!!!更新、頑張ってください。待ってます!! (2020年7月5日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
どーる(プロフ) - FRISKさん» いっぱいちゅきになってください(はーと) (2018年3月23日 18時) (レス) id: b65a035319 (このIDを非表示/違反報告)
FRISK - や、やだ、好き← (2018年3月23日 18時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
どーる(プロフ) - 風音迷夜さん» 帰ってきましたよ!!受験が無事終わりましたのでこれからは最新頑張ります!ほんと応援してくださってありがとうございます…! (2018年3月22日 20時) (レス) id: b65a035319 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:どーる | 作成日時:2017年9月28日 0時

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