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daily.2 ページ10

◎よこやまさん


「晴人、ちょっと休憩しよ。コーヒーでいいか?」

『なんもいらん。』

「コーヒーやな。ちょっと買うてくるわ。」

『あっ、ちょっと!いらんってば!』


なんやら背後で晴人が暴れてるような気がするけど、そんなこと気にせずコーヒーを買いに出る。

たぶん晴人のことは大倉や丸とかが大人しくさせてくれるやろう。



詰めてやっても良いことなんてない。

特に晴人は集中してるときは自分しんどくなってることに気づかへんから、なおさらや。

それに気づいたのはいつやろうか。

晴人が復帰してから、
俺らは自然と晴人のペースに合わせて休憩を取るようになっていた。





2019年、冬。

俺らは47都道府県ツアーを回りながら、普段のレギュラーの仕事もこなす忙しい毎日を送っていた。



“しんどいんかな、なんかわからんけど、最近涙が止まらへんねん”



ライブでは淡々とアイドルをこなし、ほとんど涙を見せない晴人。

しかし、今回のライブツアーでは珍しく感極まっている場面が多くなっていた。





「ただいまー」

「横山くんおかえり〜」

楽屋に戻るとひらひらと手を振る安と、紙の束を読んで難しい顔をしているヒナの姿。

「あれ?晴人は?」

「大倉と丸と一旦外出てる。たぶん、ちょっとしんどいんかも。コーヒー机んとこ置いといたげて。」

そう言う安の眉は下がりきっていて、晴人のことを心配していることが一目でわかった。


「ここ数年だいぶ良くなってたのにな。」

ヒナが顔を上げて言う。怒っているような、悲しんでいるような、本心は読み取れない。



「あいつ、また薬飲んでるらしいわ。」


この間マネージャーから聞いた情報。
心配し過ぎるのは良くないけど、一応。



もうあんなことが起こらないように、

ただ願うことしかできない。

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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜! (2021年1月30日 17時) (レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です!とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました!無理のないペースで、更新楽しみにしていますね! (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さざ波 | 作成日時:2021年1月23日 1時

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