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◎なかまさん


「なぁ、晴人?」


転機が訪れたのは2007年。

エイトさんの47都道府県ライブツアーにつかせてもらっていたときのことだった。


晴人との関係をなんとかしなくちゃいけない。
そう思っていた俺はライブ前、人波をかき分けて晴人を探しに行った。



『あれ…どうしたん淳太?みんなは?ジュニアで集まってるんとちゃうん?』


久しぶりに近くで見た晴人は、
心なしか元気が無いようにも見えた。



「いや、あの…晴人と、喋りたくて。」


『そっか。ありがと。』


伏し目がちに笑った晴人はやっぱり、男の俺でも惚れるくらいの美少年だった。




しばらくの間流れる沈黙。

お互い話したいことは山ほどあるのに、うまく口にすることが出来なかった。


「白岡さーん!」

すると、スタッフさんが晴人を呼びに来た。


『ごめん淳太、また今度…』

気づいたら俺は、振り返って歩き出す晴人の腕をがしっと掴んでいた。



『えっ、どうしたん?』

「晴人、電話番号変わってないやんな?」

『う、うん。変わってないよ。』

「これ終わったら連絡する。絶対に連絡するから、待ってて。」



晴人は困った顔をしていた。
だけど、しばらくすると見覚えのある優しい笑顔に変わった。




『わかった。連絡待ってるわ。』





それからというもの、俺は再び晴人と連絡を取るようになった。
スケジュールが合えば一緒にご飯にも行ったし、将来のことも話し合える関係になった。



いつだったか晴人に“あのときはごめん”と言ったとき、彼は“なんのこと?”と首をかしげていた。


突然晴人がデビューして、

悔しくて、嫉妬して、

避けるようになって。


そんな子どもみたいなことをしていた俺のことを、晴人は何も言わずに許してくれた。



年下なのに、年下じゃ無いみたいな人。



みんなが晴人を、強い人だと思っていた。

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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜! (2021年1月30日 17時) (レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です!とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました!無理のないペースで、更新楽しみにしていますね! (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さざ波 | 作成日時:2021年1月23日 1時

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