＃ ページ8
◎なかまさん
2010年。夏。松竹座。
俺ら関西ジャニーズJrは、松竹座で舞台「少年たち」に出演することが決まった。
「なぁ照史。晴人からなんか連絡きた？」
「なんも来てないで。そもそも俺、淳太くんほど晴人くんと連絡取り合ってないもん。」
毎年夏になると俺らの松竹座公演を見に来てくれる晴人。
しかし、この年は見にくるという連絡どころか、
普通の連絡すら返ってこなくなっていた。
「エイトさん最近忙しそうやん。晴人くんもドラマ出てたし、疲れてるんやろ。」
隣で台本を読んでいた濱ちゃんが俺を見てそう言う。だけどその言葉にはなんとなく、刺々しいものを感じた。
2002年にジャニーズに入所した晴人。
照史や濱ちゃんとは同期で、俺たちとは一時期同じユニットでも活動していた。
だけど、当時からなんとなく晴人との差を感じていた。
雑誌の撮影のとき、晴人は必ずといっていいほどセンターを飾る。
エイトさんのバックとして出演する舞台でも、晴人は俺たちよりも台詞の多い役柄だった。
「でも、普通の連絡も全然返ってけえへんねんよな。携帯変えたんかな。」
2005年の夏。
事務所のお偉いさんに呼び出された晴人は、
そのまま俺たちの元へ帰ってくることはなかった。
気づいた時には俺らよりも前に立って、法被を身にまとい、エイトさんたちと並んで活動していた。
「横山くんなら晴人の連絡先知ってるかな。」
だけど、突然の晴人の加入を受け入れられる人は少なかった。
ライブをするたびに執拗に晴人に暴言を吐く人たち。
花道を通る晴人の衣装をわざと引っ張って、転ばせようとする人もいた。
実際に晴人はそれで舞台から転落し、怪我をしたこともある。
俺たちもなかなか晴人に話しかけることができず、あんなに仲が良かったのに意識的に避けるようになっていた。
「よし、今度横山くんに聞いてみよ。」
それでも晴人は、笑顔でステージに立ち続けた。
もはや、誰も彼に文句など言えなくなっていた。
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donco(プロフ) - SEIさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて嬉しいです〜！ (2021年1月30日 17時) (
レス) id: 29bbb7c934 (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 更新お疲れ様です！とても読み応えのあるストーリーで、お気に入り登録しました！無理のないペースで、更新楽しみにしていますね！ (2021年1月26日 15時) (レス) id: fb017ffbce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さざ波 | 作成日時：2021年1月23日 1時
