番外編《輪廻祭》 ページ47
オボロside
吐き出す息も白く、そしてわいわいと人が賑わい始めた。
それもそのハズ。何しろ今日は輪廻祭。賑わうなという方が無理だろう。
然し、私はどうも気が重い。
オボロ『うぅーん……』
編んだマフラーを渡すか否か、悩んでいるのです。
白地に濃紺のラインを上下に二本引いたシンプルなデザインのマフラーは、お母さんやサラダに聞いて何とか編んだもので、私としても思いが深い。
だけど、重くないだろうか。
部屋のベッドに座ってそれを見ていると、オボロ〜、と階段の下から声をかけられた。
オボロ『ボルト、どうしたの?』
ボルト「俺、今から母ちゃんのお使い行くんだけど一緒に行くか?」
渡しに行くついでに着いて来いよ!と笑うボルトに顔を真っ赤にして黙ると、ほらほらと急かされるので首にかけていた額当てを力一杯放り投げた。
部屋のベッドの上に畳んで置かれていた今朝編んだばかりのマフラーを紙袋にラッピングをしてから持って降りると、痛いじゃねぇかと怒られたけれど無視をした。
お母さんに渡された、私は赤、ボルトは濃紺のマフラーを身につけると二人で家を出る。
外はシンシンと雪が降り、辺りをどんどん真っ白に染めていった。
オボロ『お使いって?』
ボルト「ケーキの受け取り!」
今は夕方で、朝よりも一層華やいだ街。
楽しいのは好きだけど、どうもこういうのは苦手だ。
それに……。
オボロ『(輪廻祭はいのじんのお家も忙しいから)』
恋人に花を渡す人は少なくない。寧ろ多い。
だからその時期が近付くに連れて一緒に居られる時間も少なくなってしまうのだ。
はぁ、と息を吐き出すと数秒経てば空気に溶け込んで消えてしまう。
キョロキョロと辺りを見ている間にケーキ屋さんまで来たようで、ボルトはスタスタと入って行く。
向かい側を見ると丁度いのじんのお家の花屋さんがある。
やっぱり忙しそうだ。
ぼんやりとほぼ無心で見ているとおーい!とボルトが耳元で叫んだ。
オボロ『わっ…っ、何?』
ボルト「お前が上の空なんだろ〜?どうしたんだよ」
オボロ『いや、忙しそうだなぁって……』
そう言って後ろの方を見れば嗚呼、とボルトが納得した。
ボルト「確かそろそろ閉店だろ?行ってこい!」
オボロ『え、でも…』
ボルト「いいから!」
ボルトに押し込まれて入った花屋はそれ以上誰かが来ることは無く、強引ながらに何とか入ることは出来た。
嬉しいけど、ボルトがここまでする理由は何だろうか。
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儚奈(プロフ) - 十六夜さん» お久しぶりです! 今度は想像で、全員が上忍になった後などを書いてみようかな、と思っています! 更新が遅くなる一方で、二月になんてほとんど出来ないと思いますが、今後も読んで頂けると嬉しいです……(^_^;) (2018年12月23日 20時) (レス) id: 941560be5a (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 儚奈さん» お久しぶりです久し振り更新で嬉しいです!輪廻祭編私も好きで続きとかあったら楽しみにしています。 (2018年12月23日 20時) (レス) id: 3d7672005c (このIDを非表示/違反報告)
あほうどり - いえいえ!わざわざありがとうございます! (2018年11月20日 17時) (レス) id: 93f364f154 (このIDを非表示/違反報告)
儚奈(プロフ) - あほうどりさん» 判って頂けて嬉しいです!これからは特徴などで通じるように工夫しますね(^ ^;) (2018年11月20日 17時) (レス) id: 941560be5a (このIDを非表示/違反報告)
あほうどり - ああ〜あのこか! (2018年11月20日 16時) (レス) id: 93f364f154 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:儚奈 | 作成日時:2018年2月6日 21時