這い上がる貴公子【あんスタ】 (ページ12)

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罪を悔いる貴公子-40- ページ12

客席に行くと悲惨な光景が広がっていた。

｢ははっ……何これ｣

講堂はほぼ空だった。AUBEのときだって観客が次々と立っていって。そして、それを無理矢理引き戻して演目を見せたと言ってもいいのかもしれない。

だけど、Ra*bitsにはそれが出来なかった。そうする間もなく、観客がいなくなったから。

真っ暗な観客席に向かって歌って、踊れとでも言うのだろうか。

｢それはあまりにも残酷過ぎるだろ……｣

泣きそうになる。
あんな態度を取っていたけど、地面を明るく照らせるように丹精に育ててきたつもりだ。

現に今も、Ra*bitsのメンバー全員がまぶしく光輝いている。だからこそ、辛い。

精一杯のパフォーマンスをしている彼らを見るのが辛い。

それでも、僕に出来るのは見届けるだけだ。まぶしいほどに輝いている彼らのステージを。

ステージの上、気丈に振る舞って最高のパフォーマンスをするRa*bits(小ウサギ)の努力の結果を酷(むご)い現実が冷たく踏み潰す。

｢絶対忘れない｣

口に出して決意した後、そっと講堂の客席を後にした。