番外:御忍びヒーロー 3 ページ42
「誰もいないでごさるか?」
無機質な廊下に拙者の声が空虚に響くでござる。それがなんとも気味が悪い………
翠くんのクラス、ホームルームは終わっていたので、てっきり待ってくれていると思ったのでござるが………
も、もしや、拙者が待たせたのを気に入らなかったでござるか?うぅ〜……拙者のせいでござる………
廊下の隅で踞っていると、誰かに声をかけられた気がした。
「えっと、流星隊の子?」
拙者が咄嗟に顔を上げると、その人の額に顔をぶつけてしまった。………ちょっと痛いでござる
「……たた、ごめんね」
見上げると、金髪が窓から入る夕陽に反射してなんとも儚く、綺麗なその人だった。拙者は咄嗟に謝ることもできずに、その人を眺めているだけてあった。
拙者でない誰かに謝っているようにも見えたその人は拙者に手を差し伸べて、ふんわりと微笑んだでござる。
そのときの光景は今でも頭の中にくっきりと焼き付いているでござる。
「はい、立って」
差し出された手を受け取り、拙者は立ち上がった。
「翠くんが待ってるから」
拙者は何も言っていないにも関わらず、優しく導いてくれるその人が目で見ているよりもずっと大きく見えたでござる。
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作者名:雪桜 | 作成日時:2016年9月25日 12時