堕ちた貴公子【あんスタ】 (ページ12)

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罪を抱えた貴公子ｰ9ｰページ12

｢こんにちは、佐賀美センセ｣

仕事中のまま、眠ってしまっているようで保険医の佐賀美陣先生の返事はなかった。

この前、に～ちゃんから貰ったふせんに用件だけメモを走らせる。

ベッドで寝ていること、昼休みになる前に起こしてほしいこと。それと癖になったサインをつけておいた。

うまく回らない頭を休ませるようにベッドでまぶたを閉じる。眠くないはずなのにいつの間にか眠っていた。

｢さっさと起きろよ、すずな｣

かつて五奇人と呼ばれたあの頃の懐かしいトーンで起こされた気がした。でも、周りには誰もいなくて何とも言えない孤独感だけが残った。

｢零さん、だった気がするんだけとなぁ…｣

ベッドから時計を見ると授業の終わりと憂鬱な昼休みが目前に迫っていることに気がついた。

佐賀美先生は授業があるのか、保健室にはいない。

ガラガラガラと音がして保健室のドアが開いらた。授業終わりの佐賀美先生がカーテンを開いて、顔を覗いてきた。

｢起きたか～？
ん、顔色も良くなってるな。無理はすんなよ｣

｢はいはい｣

僕なんかが誰かを心配させていいのだろうか…
ふと思ってしまう。

佐賀美先生に適当な返事をしつつ、保健室を出て生徒会室に向かった。

｢こんにちは、2年B組仁兎すずなです｣

ノックをして、返事を待つことにした。嗚呼、やっぱり憂鬱だなぁ…