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それから昼休憩までの授業なんてもう気が気でなかった。
任務なんざ絶対入ってくれるな。と思いながら一生携帯を睨み続ける。
『どうした? 何かあったの?』
『A、大丈夫?』
『昼出れる。家戻る』
1時間ごとに送った3件は既読にならない。
彼女は肝心な時に連絡寄越さず、僕をこうやって死ぬほど心配させる。
あーもう何なんだよ。まじで。どこにいるんだよ。
何でこれだけの意味深なメッセージ残せんだよ。
__4限の終わりを知らせるチャイムが鳴った途端僕は携帯だけ持って階段を駆け降りた。
途中誰かに声をかけられた気がするけど、適当に返事して靴も履き替えず昇降口を飛び出す。
不意に鳴った通知。僕の携帯からだ。
『学校の前で待ってるね』
「……は?」僕がそれを見て立ち止まった時には、僕はもう校門の手前にいて。
「五条くん!」気付いた時には、長い玄関先に彼女がこちらに手を振っていた。
近づいてまじまじと見た彼女は特段、朝と変わらない様子で。
「……どしたの」
「五条くん珍しい、汗かいてる!」
「君が意味深なメッセージ残したから」
「あ、うん」
思い出したようにAは僕に、「渡したいものがあって」なんてシルバーの鍵を見せた。
…鍵? 何の鍵?
僕が質問する前に、Aはこれが何の鍵であるかを説明してくれた。
合鍵、そう彼女は言った。
「さっき作りに行ってたんだぁ。
帰ってからでも良かったんだけど、すぐ渡したくて」
「……これだけ?」
「あ、そうそう。これも」
「…え」
わかりやすいランチバッグ。
白で可愛らしいデザインのそれはずっしりと確かな重みがある。
それと彼女を二度見する。もしかして、これって。まさか。
「Aさんからの差し入れです!
よかったら召し上がれ!」
「…………マジで言ってる? ヤバ」
「…五条くん顔にやけてますけど」
「いや、だってさ。…えー!! もう!
こんなん嬉しすぎて食べれないんですけど!」
「えっいやいや食べてね!」
彼女から貰った、合鍵と弁当。合鍵だけでも僕、嬉しすぎてニヤケを抑えつけるのに必死だったのに、弁当なんて持ってこられた分には、もう耐えられないよ。
こんな可愛いことしてくれる彼女に、心配かけさせた事とか連絡マメにしてくれって事とか、ふつふつと湧き上がってた苛立ちをぶつけることなんて出来なかった。
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花帆 - 両者の視点で本心が読めるのも面白いです♪続き楽しみにしています! (2022年9月28日 2時) (レス) @page28 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - yukinoさん» yukino様、作者の様々な作品に目を通して頂き大変うれしい限りです。yukino様から頂いたコメント、全て拝見しております。いつも励みになるコメント、ありがとうございます! これからもどうぞご支援頂けると幸いです。 (2022年1月20日 5時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - 私呪術廻戦では五条悟が一番好きなんですよ!(知るか) 読んでて,とても面白いです!!!続き気になります!頑張って下さい!! (2022年1月17日 20時) (レス) @page18 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 董香さん» 董香様、コメントありがとうございます!嬉しいお言葉、励みになります!(^^)これからも頑張れます! (2021年5月31日 16時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
董香(プロフ) - はじめまして!こんにちは! 読んでてすごくおもしろいです!!!これからも楽しみにしてます (^^) (2021年5月30日 13時) (レス) id: cdc6ebec75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2021年5月29日 15時