5話「マザコンならぬグラコン」 ページ5
「私ね、おばあちゃんみたくなりたいの」
しばらくの沈黙の後、そう言われた。
「今はもう引退しちゃったけど、凄く強い剣士だったんだ。今でも結構頼られること多いみたい。それくらいすごい人なの。だから、色々教えて貰ってるんだけど、上手く、出来なくて。」
湯のみをギュッと握りしめるやまとちゃん。その手にぽたぽたと雫が落ちる。あわわ、ど、どうすれば、
「大切な人も、守れなかった」
「大切な人な人…?」
「5つ下の弟がいたの。でも守れなかった。目の前で、食べられちゃった。大事や弟なのに、お姉ちゃんなのに、体が動かなかった」
きっとこれだ。やまとちゃんが時々悲しそうな顔をする原因。そういうことだったんだ。1人で、責めて責めて、必死でもがいてたんだ。目の前で弟が殺されて、自分だけ助かって。何も出来なかった自分が許せないんだろうな。
そう思うと心が痛かった。苦しかった。
「や、やま゛と、ぢゃ゛、」
「!?うわ、汚!!!何その顔!なんであんたが泣いてんの……」
「だって、だって…」
「……フッ、変なの。意味わかんない」
そう言って笑ってくれた。初めて、私の前て笑ってくれた。かわ!!普段の顔もムスッとしてる時も可愛いけど笑うとさらに可愛い!!!!嬉しくて、ついガバッと抱きしめる。
「ちょ、なに!?やめ」
「やまとちゃんはひとりじゃないよ」
「!」
「1人じゃない。最強おばあちゃんがいる。私だっている。弟さんのこと、私がどうこう言う資格がないって分かってるけどきっと、前を向いて進んで行くしかないんだよ。弟さんもきっとそれを望んでる。
それと、話してくれてありがとう。凄く嬉しい」
「、うん、ありがと。私も、ごめん、色々いじわるしちゃって」
「気にしてないよ。それに元々の根が優しいのは分かってたから」
「あの、さ。えと、名前で、呼んでもいい?」
ずっっっきゅん!!!!!!!!!クリティカルヒット!!!!!!!!かんわいいなおい!!!!
「勿論!!!!!!!」
「食い気味すぎキモイ」
「辛辣なのは変わらないのねそこも好きだよ」
「そうだ!ね、ちょっと相手してよ。」
「えっ、でも私やったことないし…」
「いいから!それに、おばあちゃんが連れてきたってことは、なにか、あると思うんだよね。まあ、それにちょっと嫉妬して意地悪しちゃったんだけど…」
「ん?なんか言った?」
「ううん、何でも。ほら、構えて!!言っとくけど加減とかないから」
「え」
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時