転生先で呼吸が使えず詰んでいる件【鬼滅の刃】

37話「夏」 ページ37

そのまま、ご飯食べていきなよ！という無一郎くんのお誘いに甘え、夜ご飯をご馳走になった。やっぱりご飯は人数いた方が美味しいもんね。

最初はなんとも気まずい雰囲気だったのだけど、有一郎くんの作ったご飯があまりに美味しく、ばくばく食べていたら「お前本当に女か…？」と引かれ、無一郎くんには笑われた。

そこからは空気も軽くなり、2人も会話していた。超絶失礼だったけどな！！まぁ、結果オーライってやつかな。


おなかいっぱい食べたあと、夜も遅いし泊まっていけばいいと言ってくれたけれど、さすがにそこまではお世話になれないので帰ることにした。

しっかり戸締りするようにと、2人に告げて山を降りる。こんなに暗いと鬼の1人や２人出てきそうだな、なんて思っていると。なんでこういう悪い予感に限って当たるんだろうね。案の定、鬼と出くわし首を斬った。




その日から、少しだけ有一郎くんが変わった気がする。話を聞いてくれるようになったのだ。無一郎くんも嬉しそうだった。相変わらず態度も口も悪いけどな。あまね様も驚いてたっけ。

「Aさんがなにか言ってくれたの？」と聞かれたが曖昧にはぐらかしておいた。別に大したことしたわけじゃないしね。



あっという間に過ぎていく日々。日を追う事に暑さも増している気がする。夏が近い。そして、有一郎くんが襲われる日も…近づいてきている。

一応2人には例のお守りを渡してある。気休めにしかならないかもしれないけれど。

そしてその夏の暑さと並行するように、鬼の襲撃数も増えていた。しっかり戸締りしていた冬に比べ、暑いからと戸を開けっ放しにする人が多いのだ。鬼にとっては絶好の狙い目ってわけで。

それに伴い、どうしても司令が続き、以前に比べて時透家を尋ねる頻度は減っていた。あまね様も忙しそうで、なんとか時間を作ろうとしてくれている。





そして現在、厄介な鬼を相手にしていたせいでここ１ヶ月程尋ねられないでいた。正直、心配ではあった。けれどお守りを肌身離さず待っているように、そして夏の暑い夜も戸締りにだけは気をつけて、とそう2人には強くお願いをしてある。きっと、大丈夫。
これくらいしか出来ない自分が少し、情けなかった。

明日は久しぶりにゆっくり出来る。あまね様は相変わらず忙しそうなので、一人で行こう。そういや前にもこうやって一人で2人の所へ向かったな。今回は手土産にお団子でも買って行こうか。

38話「嫌な予感」→←36話「距離」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す