3話「大きなおにぎりには夢と希望が詰まっている」 ページ3
ひ、久しぶりにあんなに人前で泣いたな。めっちゃ恥ずかしい。穴があったら埋まりたい。けど、自分で思ってたよりもずっと、不安、だったのかもしれない。
私の少し前を歩くおばあさん。うちにおいで、と言ってくれた。こんな見ず知らずの得体の知れない餓鬼を。手を差し伸べてくれた。すごく、嬉しかった。
「着いたよ、ここが我が家だ」
「わぁ、和!って感じですね!!」
「ふふ、そうかい」
昔ながらの田舎にあるようなお家。結構大きい。あ、庭にお花が咲いてる。藤の花……?おばあさんがお世話してるのかな。
見失わないよう慌てて中へと入っていくおばあさんの後を追う。
「ただいまかえりました」
「お、おじゃましまーす……」
奥からドタドタと聞こえる足音。そっか、おばあさん一人暮らしじゃないのね、どんな人なんだろう。挨拶しなきゃ。
「おかえりなさ……!!!!」
奥から出てきたのは可愛らしい女の子。お孫さん、かな。私に気づいて、目を見開いている。
「あ、えと、はじめまして。というか、おばあちゃんにも名乗ってなかったなそういえば。名前はA。よろし……く……」
「近づかないで!!!!!!!」
「え゛」
「これ、初対面でなんですかみっともない。ちゃんと謝りなさい」
「嫌です!!なんですかこの人!誰なんですか!なんで大量に食べ物を抱えているんですか!しかも服汚れてるし!!!」
キッとこちらを睨んでいる。やばい激おこだ。なんで怒ってるんだろう。何かしたかな私。
「あ、そうだこれ、沢山あるので1つどうぞ」
持っていたおにぎりをひとつ渡す。これからお世話になるんだもんね、お近づきの印ってことで。
「いりません!!!!そんな得体の知れない人から貰う食べ物なんて何が入ってるか分からない!!」
「やまと!!!いい加減にしなさい失礼ですよ!」
「いいです大丈夫です。……あ、もしかして、おにぎりお嫌いでした!?」
「は?」
「ごめんなさい、なんせ持ち合わせがさっき頂いたこれしかなくて、1番大きいおにぎりをと思ったんですけど。そうですよね、女の子は甘いものが1番ですもんね!」
はい!どうぞ!!と飴を渡す。隣で吹き出すおばあさんと、こめかみをピクピクさせて硬直するやまとさん。あれ、なんか間違えた?
「あなたの負けですよ、やまと。これから一緒に住むのだからなかよくしなさい」
「え、ちょ、住む?住むって言いました?」
「不束者ですがよろしくお願いします!」
「うそ、でしょ…」
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鎖夏(プロフ) - 楽しく拝見させて頂いてます。私、錆兎が大大大好きなので、この作品まじ最高すぎます!!夢主ちゃんの性格もよき笑応援してます!! (2020年6月22日 18時) (レス) id: a8669a7d2d (このIDを非表示/違反報告)
花札 - そういえば、ひなたさんの推しは誰ですか?それと、有一朗君が死んでしまった所とっても泣きました。カナエさんはどうなるんでしょうかね。頑張ってください!! (2020年6月5日 15時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
いくら - ひなたさん» いえいえ!!こんな素敵な小説なら、いつまでも待てますよ!! (2020年5月19日 12時) (レス) id: 16c4d9d785 (このIDを非表示/違反報告)
花札 - こんにちは、とても面白かったです。(はやく続き読みたい・・・。)更新、頑張ってください!応援してます!! (2020年5月9日 21時) (レス) id: bb31b5d897 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - いくらさん» くそみたいに更新遅くて申し訳ないです…!頑張りますね!!!! (2020年5月9日 11時) (レス) id: 138242db57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなた | 作成日時:2020年3月17日 12時