転生先で呼吸が使えず詰んでいる件【鬼滅の刃】

23話「ひと時の別れ」 ページ23

それから数日。完全に完治した私たちの元へ鎹鴉が飛んできて、それぞれに最初の任務が伝えられた。ちょっと期待してたけど、やはりやまとちゃんとは別任務。けっ。しばらく会えなさそうだ。

当の本人は不安そうにしてたけど、やまとちゃんの実力は分かってるし、多分場数を踏めば踏むほど、戦えば戦うほど吸収して強くなるタイプの子だ。あまり心配はしていない。むしろ私が大丈夫かって感じ。呼吸法はあまりあてにならず、炎の力も詳細が分かっておらず、そもそも使いたい時に使えなかったらお陀仏。じ、えんど。本当に勘弁して欲しい。



「それじゃ、行ってきます！」

「行ってまいります！！」


「いってらっしゃい」


貰った羽織、貰った髪飾りと耳飾り。腰には日輪刀。沢山、たくさん色々な人にお世話になって、たくさんの物を思い出を貰った。これを少しでも還元できるよう、頑張ろう。

ご近所さん、おばあちゃんの首元には2人で作った藤の花の入っているお守り。ここにはあまり帰って来られないだろうからね。藤の花がきっとみんなを守ってくれる。

そんな皆に、おばあちゃんに見守られながら私たちはそれぞれの目的地へと向かった。







「ここで一旦お別れだね」

「うん…そうだね…」

「…大丈夫！やまとちゃんは強い子だよ。私が保証する。今は目の前のことを全力でやるしかない。絶対また会えるから、絶対見つけるから。ね、」

「うん…絶対、絶対だよ。」

「うん、約束」


指切りをかわして、やまとちゃんを優しく抱きしめる。私よりも小さな体。こんな子が、命を張って戦おうとしている。私がガタガタ泣きごと言ってられない。


「じゃあ、またね」

「うん！！！！また、！」

別れたあと少し進んで振り返ると、もうやまとちゃんの姿はなかった。本当に強くなったな。私も負けてられない。今度会った時、幻滅されないよう頑張ろう。


「…よっしゃァァァァ！！！！！！！！」


バチンッッッ！！！！と両頬を叩く。気合いだ気合。気合があれば何でも出来る！！！()
頑張る。頑張るけど、できるだけ目立たないように。静かに精一杯頑張ります。



そういや、義勇と錆兎もそろそろ初任務かなぁ。元気は元気だろうし、これから活躍して行くのも知ってるけど。どうなんだろこの先。やっぱ未来変わるのかしら。


初任務、やまとちゃんと錆兎と義勇一緒だったりしたら面白いなぁ、というAの妄想が遠く離れた地で現実のものになっていたのは、また別のお話。

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