元彼×今彼＝方程式の答え【凪 誠士郎】

恋愛は上書きって嘘じゃん ページ4

「凪くんの事、もう私は忘れたから。だからこうやって話すのも嫌。」


「……俺さ、あの時―」


「もういいってば」






「私は、玲王が好き。質問が済んだのなら鍵、返して？」


「……分かった」



凪くんは手のひらに私の家の鍵を乗せ、私に差し出してくる



私がその鍵に手を伸ばした時



「っ！」



私は凪くんに手を握られる


力が強い。


抜けない



「離し―」





その時、私は凪くんの行動に理解が出来なかった



私は凪くんに抱き寄せられていたから






「なに！離してよ……！凪くん！」


「あのさ。」



凪くんの声が久しぶりに……こんな近くで聞こえて



ビクッと体が動いてしまう






「俺、あの日の事を忘れた日は無い。」


「凪くんのと私の「あの日」を一緒にしないで。いいから離して。」


「嫌だ。離したくない。」



「やだ……！！」






「……好きだ。……好き。A」






暴れていた私の動きが、凪くんの言葉で止まってしまった







あの日



《他に好きな人がいる》


《もうAの事……好きじゃない》



あの日(別れた日)からずっとずっともう一度、聞きたかった言葉なのに




今更……？馬鹿にしてんの？



私は玲王と付き合っていて、本当に私の事大事にしてくれてて



目の前の奴(凪 誠士郎)とは大違い。



「私、あの後どれだけ泣いたと思ってるの。どれだけ……」


「ごめん」



凪くんの私を抱き寄せている腕の力が強まる



「私は今、玲王と付き合ってて……」


「分かってる」


「じゃあ離してよ」


「……嫌だ。好き……あと少しだけこうさせて」




ダメだよ。私は玲王と付き合ってる



凪くんの事はもう―……



「……うん」







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玲王と付き合ってるのに



「ん……」



凪くんのキス。




玲王と付き合ってるのに




「は……A、好き。」


「んぁ……」



玲王と―……



「凪く……」


「好き……はっ……俺だけ見て」


「ふぁ……」




過去の恋愛は上書きする事で忘れられるなんて誰が言ったんだろう




嘘じゃん。




ほんとに誰が言ったんだよ。そんな事

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